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2011/12/22更新

リーダーシップ―胆力と大局観 (新潮新書)

140分

9P

  • 古典的
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リーダーの条件

民衆が嫌だと思う税や保険の負担増であっても、手段を尽くして実現しなければならないことがある。それがリーダーシップというものである。しかし、菅直人氏ほど、このような「為政者の覚悟」に馴染まなかった政治家も稀である。これは自分が「為政者」だと考えるアイデンティティと責任意識が希薄だったからである。

善政を実現する要素は、どの体制においても、為政者がいかにリーダーシップを発揮し、国民がいかに為政者を信頼して支持するかの整合性にかかっている。リーダーは、必ずしもカリスマや天才である必要はない。リーダーの条件は次の3つである。

①総合力
総合力とは全体、全局を見通す力のことである。つまり、大局観である。

②胆力
日本の最高指導者である首相には、国民の期待に応え不満を解消するために、何があっても動じない平常心が求められる。

③人心掌握力
人心掌握力とは人をうまく使う能力である。リーダーは細部をすべて知っている必要はないし、現実的にそれは不可能である。自分が知らない問題は、適材適所で人材を活用すれば良い。

以上の3つは政治家だけでなく、経営者にとっても必要である。リーダーとして自ら高めていくためには「歴史に学ぶ」という姿勢が必要になる。リーダーたるべき者は、歴史へのバランスのとれた見方を持つべきである。

歴史から学ぶリーダーシップに必要なこと

・山岡鉄舟
幕末に西郷隆盛と江戸開城を談判した幕臣山岡鉄舟の無私の態度に近い姿勢は、西郷の心を打ち、慶喜の助命を認めさせた。捨て身で無欲な人物でないと、悲喜こもごも苦悩を共にしながら国家の大事を図れない。

・保科正之
江戸時代の明暦の大火は、焼死者10万7046人を出し、江戸市中を焦土と化した。この事態を収拾したのが保科正之であった。保科は民衆が市中を避難し混乱している時、将軍は江戸城を動くべきではないとし、どっしり構えた。路頭に迷う人々に炊き出しをおこなった。最高指導者はみだりに動くべきではない。

・西郷隆盛
西郷は「正義」や「正道」を人間の守るべき大事な価値と信じていた。彼はこの2つのために、自分の命を犠牲にする覚悟を持っていた。例え外交が不得意で細かな故実を知らなくても、政治家たる者は平常心に加えて筋道を通す判断力と胆力が要求される。

・山口多聞
ミッドウェー海戦で戦死した第二航空船隊司令官の山口多聞少将は、類い稀なリーダーとしての資質を持っていた。山口多聞から学ぶ点は次の3点である。

①状況が混乱し情報が錯綜している時も揺るがなかった確かな判断力
②主力空母3隻が大破し、敗色濃厚になっても反撃した闘魂と勇猛心
③敗戦と部下を死なせた責任から、死なずによい局面で海に沈んだ出処進退