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2012/01/18更新

危機を超える経営―不測の事態、激変する市場にどう対応するか

309分

3P

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危機耐性力

「危機耐性力」とは、危機に抗してその影響を極小化する力である。過去の危機とは些か趣を異にする「リーマンショック」を乗り越えた企業群は、「PDCA+3S」という行動原理を有する。日常の組織行動原理として知られる「PDCA」サイクルは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)の4段階を繰り返すことで目標を達成する概念だ。そして、危機耐性力を支える行動原理「3S」は、感知力(Sensor)・高速回転(Speed)・危機意識(Sense of urgency)から構成され、情報力を核にPDCAサイクルと有機的に結合している。

危機進化力

バブル崩壊による失われた20年は、日本企業に対して2大潮流とも呼べる構造的危機をもたらした。第一に、「製品のコモディティ化」である。新興国の台頭により、高い技術力を持たずとも高性能な製品が製造可能になった。この変化は、日本企業の競争優位を崩壊させ、顧客認識価値の低減をもたらしている。第二に、こうした状況下においても高性能・高品質を追求した日本のモノづくりは、「ガラパゴス化」の危機に瀕している。日本企業が再び飛躍するためには、構造的危機を克服するための「危機進化力」をも併せ持つ必要がある。以下では、実現可能性の観点から2つの戦略モデルに焦点を当てる。

まず、「新興国最適化モデル」である。これは最も稼げる新興国市場、取分けボリュームゾーンで戦う手法だ。新興国での成功を収めるためには、現地との調和が重要な要素となる。新興国の水準の価格帯に合わせて自社を適合する戦略。あるいは、新興国市場自体を成長させて、新興国の顧客を自社製品に適合させる戦略が有効だ。
次に、「差異恒常化モデル」である。これは、認識価値の低減を克服する手法だ。頭打ちの基本性能に差異化した機能を付け加え、高い認識価値を実現する戦略。あるいは、新興国企業に対して参入障壁や技術優位性を築き、相対的に高い認識価値を実現する戦略が有効だ。

2つの戦略モデルより「危機進化力」とは、①顧客洞察力、②機能取捨力、③現地調和力、④他社資源活用力、⑤文化発信力、⑥技術融合力、⑦市場開拓力のいずれかの能力において優位性を持つことが要件となる。

リーマンショック・構造的危機・大震災を超えて

大震災に見た未知の企業競争力として、2つの共通点が挙げられる。第一に、過去の経験を深く内省していることである。危機時に優れた意思決定をした企業の多くは、過去の過ちや反省を踏まえた行動をとっていた。第二に、本部と現場における「共振化」である。震災時の「裏舞台」は、取りも直さず平時に構築されたものだ。日頃の積み重ねが、危機時の迅速で柔軟な対応に繋がる。つまり、経営力を現場力に結びつけることが、危機を超える経営である。