変化に順応するだけでは足りない
私たちは『チーズはどこへ消えた?』のおかげで、起こる変化を受け入れる必要があること、変化は自分たちにコントロールできないということ、前に進んで変化に順応する力をみつける必要があることを学んだ。
このメッセージは間違っていない。しかし、不十分である。
なぜ変化を余儀なくされているのか、今後の生活を自らの手でコントロールするにはどうすれば良いか。自分たちが追い求めているゴールは正しいのか。私たちは他人が設計した「迷路」から脱出するために必要なのは何かを理解しなければならない。
成功や幸福を手にするには、変化に順応するだけでは足りない。
あらすじ
あの「素晴らしい本」の内容を知らないネズミは一匹もいなかった。彼らは、迷路の仕組みはどうすることもできないという事を受け入れ、それを「運命」と呼び、変化に順応した。
「素晴らしい本」の哲学を身につけた者たちは、率先して新たなチーズ探しに出かけていった。ネズミはチーズが場所を変えて動いていくことに疑問をいだかなくなった。そして、決してこの問いかけを口にすることはなくなった。
「誰がチーズを動かしたのか?」
そこに現れたのが、マックスというネズミだった。マックスは他のネズミと違った。「素晴らしい本」は「変化は避けられないし、コントロールできるものでもない」という教えだったが、マックスは誰がチーズを動かしているのか突き止めようと思った。
マックスは、壁を破ることを考えた。上を眺めることで、迷路の壁の高さを知り、壁を乗り越えることに成功した。壁の上に立ったマックスは、「誰がチーズを動かしたのか」という答えを見つけた。迷路は人間によってつくられ、彼らの目的のために存在していた。
僕らが生きていくためにはある程度の量のチーズが必要だが、チーズを手に入れれば入れるほど幸せになれる訳ではない。たくさんのチーズを手に入れても、すぐにそれに慣れ、もっとたくさん手に入れたくなる。だからチーズを見つけても満足することがない。
もし自分の意志で「もうチーズを追いかけるのはやめよう」と決めたら、そのネズミは自由になれる。
問題は、迷路の中にネズミがいることじゃなくて、ネズミの中に迷路があることである。