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2011/11/11更新

弓と禅 改版

104分

2P

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修行の日々

著者は有名な弓道師範に弟子入りし、厳格な稽古が始まる。

弓の弦を引っ張るのに全身の力を働かせてはならない。両手だけにその仕事をまかせ、腕と肩の筋肉はどこまでも力を抜いて、関わりのないようにじっと見ているようにする。これができて初めて、引き絞って射ることを「精神的」にできるための条件を満たすことになる。

弓を引き絞るのは苦しい仕事であり、熱心な練習にもかかわらず、どうしても「精神的に」なりそうもなかった。

師範は「それができないのは、呼吸が正しくないからである」と明かした。息を吐く時、できるだけゆっくりと、連続的に吐き出して次第に消えていくようにすることに、重点を置いた。

一年たってやっと弓を「精神的に」、すなわち力強く、骨折らずに引く事ができるようになった。

次は「放れ」の番であった。放れとは、親指を包み込んでいる三本の指が開かれて親指を放すことを言う。弦の強力な引っ張りによって、親指は引き離され、伸ばされる。そして弦はブルンと音を立て、矢は飛んでいく。

師範は「どのように放れをやるべきかあれこれ考えてはならない。右手を故意に開いてはいけない」と言った。

何週間も何ヶ月も効果のない稽古が続いた。

弓を引き絞ると、今すぐ射放さなければ引き絞っていることが堪えられないと感じられる。息切れが起こる。なぜ放れを待つことができないのか。
師範は「それは、あなたがあなた自身から離れていないからである。意図なく引き絞った状態の外は、もはや何もあなたに残らないほど、あなた自身から離脱して、決定的にあなたのもの一切を捨て去ることである」と言った。

正しい放れに成功するには、身体の力を抜いた状態で、さらに心や精神の力を抜く事を行わねばならない。心底から無我になることによって、克服するのである。

やがて、著者は時々、正しい射ができるようになった。しかし、なぜ作為なしに、それができるようになったのかは説明できない。しかし、そういう事が起こったことは事実であり、その事だけが大切である。

次は的に向かって射ることである。弓道の奥義は、的のことを関知しない。最初は、狙いをつけずに稽古をしたが、とうとうでたらめな射に我慢できなくなった。

師範は「あなたの念頭から当たりを追い出しなさい。たとえ射が当たらなくても、弓の師範になれる。当たりは、頂点に達したあなたの無心、無我の外面的な証拠に過ぎない」と言った。

時の経つ中で、時々引き続いて射に成功し、的にあたった。

この歳月、著者は生涯の中で最も厳しい訓練を堪え抜いた。