知識と思考を区別せよ
「知っていること(知識)」と「情報に基づく思考の結果」とは異なる。ある情報から楽観的なこと、または悲観的なことしか読み取れない場合には、読み手に最初からバイアスがかかっている。世の中の事象には、何でも良い面と悪い面がある。
情報を見て、考えられることをすべて列挙せよと言われたら、良い面と悪い面の両方が出てくるのが、「知識に騙されていない純粋な思考」の結果である。
新しい情報を見たのに、すでに頭の中にある知識をひっぱり出してきたら新しい思考は生まれない。保有する知識が多すぎて、どんなに斬新なアイデアを聞いても、否定的になることがある。こういった場合には「知識が思考を邪魔している」と疑う方が良い。
知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、「過去において、他の人がその人の頭で考えた結果」である。一方、思考とは「未来に通用する論理の到達点」であり、知識とは異なるものと認識する必要がある。
「自分の頭で考える」とは、「知識と思考をはっきり区別する」ことからはじまる。
「考える」にはどうすれば良いか?
・知識と思考(考えること)を区別する
・最初に「意思決定のプロセス」を決めて、情報収集に収支せず結論を出す
・「なぜ?」「だからなんなの?」と問う
・物事を構成要素に分解して、あらゆる組み合わせ、可能性を探る
・縦(時系列)と横(自他)に並べて比較する
・判断基準に優先順位を付け、自分が何によって物事を判断すべきか明確化する
・事象のレベルを揃えて考える
・独自の「フィルター」(選択基準)を見つける
・データはトコトン追いかける
・グラフを使った視覚化で思考を深化させる
・知識は「思考の棚」に整理する
知識と思考の最適化
「知識」と「思考」の最適な関係は、「知識を思考の棚に整理する」というものである。思考の棚の中に知識を整理して入れ込むことにより、個別の知識が意味をもってつながり、全体として異なる意味が見えてくることがある。
自分が手に入れた知識を、それをもとに考えたことの中に整理して格納しておくと、いつかどこかで必要な知識を見かけた時に、すぐにその知識や情報の存在に気が付くことができる。
私たちは日々、ネットや本、雑誌、テレビなどから大量の知識や情報を得ている。重要なことは、それらの知識をそのままの形で記憶するのではなく、必ず「思考の棚」をつくり、その中に格納することである。思考の棚は以下の通りに作る。
①知識は思考の棚の中に整理する
②空いている棚に入るべき、まだ手に入っていない知識を常に意識する
③それらの知識が手に入れば言えることを、事前に考えておく