潜在ニーズを探す
他社と差別化をするためには、付加価値の高い製品やサービスを開発しなければならない。そのためには、まず「顧客は何を望んでいるのか?」を知る必要がある。
各企業はアンケートやインタビュー等の方法で顧客のニーズを拾い上げてきたが、こうした従来の方法だけでは画期的な製品やサービスを提供するのに限界が見えてきた。なぜなら、アンケートやインタビューでわかるニーズは、顧客が自分で言語化できる「顕在ニーズ」だからである。
そこで、実際に顧客の行動を観察して、まだ顧客自身も言語化できていない「潜在ニーズ」にいち早く気付き、顧客に価値のある「経験」を提供することが重要となってくる。
行動観察のポイント
①必ず現場に行って、人間の行動を観察すること
適切な解釈、よい問題解決法を得るためには、実態を深く知らなければならない。
②根拠のあるソリューションを提案すること
ソリューションは、単なる「勘」で出すのではなく、「こういうことが科学的にわかっているから、この実態はこう解釈される。だからソリューションはこうした方が良い」と論理的に説明できるものでなければならない。
行動観察のステップ
①観察
・現場に足を運んで、そのフィールドでの人間の行動を観察し、実態を把握する。
・その場で気付いた事実について詳細なメモを作成する。
・可能であれば、映像や音声を記録し、対象者にインタビューを行なう。
・事実はありのままとらえる。
②分析
・様々な事実について、可能な解釈を考える。
・人間工学や心理学など、人間に関する知見を駆使して、行動を構造的に解釈する。
③改善
・その事実をよりよく説明できる仮説を考える。
・実態とその解釈をもとに、ソリューションを提案する。
事例 〜ワーキングマザーの隠れた欲望〜
行動観察の結果、次のような事がわかった。
・ワーキングマザーは時間がない。
・買い物も手早く、どこの店に寄るかも決まっている。
・調理や洗濯など、家事は常に2つの事を同時進行で行なう。
・家事以外にも子供の宿題を見るなどの、外から見えない用事もある。
・自分が働いていることについて、子供に対し後ろめたい気持ちを持っている。
・家事で頑張っても、周りからポジティブなフィードバックがない。達成感がない。
・達成感を感じる時は、友達と情報交換する時。例えば美味しいパン屋を教える。
例えば、三つのバーナーを同時に使うワーキングマザーがいたとする。その理由は「子供に対して申し訳ない気持ちがあり、一秒でもご飯を早く作って出したいからなのか?」「料理を一生懸命に作っても褒められず、味より効率を重視しているからなのか?」
行動観察では、仮説を生み出すことが大切である。