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通貨の強弱は国力を表していない

世界的に株価が上昇する市場環境下では、円と米ドルは両方とも弱い通貨となる傾向がある。世界的に株価が上昇する環境では、世界の投資家や企業が積極的にリスクを取って対外投資を活発化させるからである。投資家は元々の投資資産をより多く持っている国の通貨を売って、対外投資する。つまり、米ドルと円が売られる。
一方、世界的に株価が下落するような環境では、投資家や企業はリスクを回避しようと、投資資金を手元に引き戻そうとする。よって、資金は投資家や企業が多くいる国である米国、日本の通貨が買われる。

日本経済は外需依存度が高いため、世界経済が強くなると日本経済も好転する。日本経済が好転すると、円相場は円安方向に動くことになる。

円が最も変動が大きい通貨である理由

①主要国の中で最も金利が低水準にある
②金融資本市場が大きく、国内の投資家、事業法人が資金を豊富に持っている。
 さらに資金調達をしやすい。
③世界第二位の経常黒字国である
④世界最大の純債権国である

世界的に景気が上向きの時には、国内投資家・事業法人が保有する資金を海外投資に向けるほか、日本以外の投資家や企業が調達コストの安い円を借りて、リターンの高そうな国に投資を行うので、円が最も売られることになる。

日本の経常黒字は他国に比べ非常に大きい。巨額の資金フローは「経常的に」円買い方向に流れているため、景気変動の有無に関わらず、円という通貨は強くなる傾向にある。

2010年末、日本の対外純資産251兆円の内、民間が保有する対外純資産は205兆円もある。国内投資家がリスク回避的になると、外貨を売却して円を購入することになる。

日本が経常黒字国で純債権国である点は、米国と正反対である。景気が悪化し、投資家がリスク回避的になる時、米ドルは円と共に買い戻され強い通貨となるが、円は経常黒字国、純債権国という点で、米ドルよりもさらに強い通貨となる。

円高の意味

中長期的な為替相場の動きは、資本フローがどのような経済環境でどちらに向かっていくかを分析・理解する必要がある。抽象的に何か日本に良いことがあったら円高と単純に考えることはできない。

一方、15〜20年先という超長期的な視点では、為替相場の方向性は国力や人口増減ではなく、各国のインフレ率の差によって決まる。1990年以降、円が最強通貨であったのは、単純に主要国中でインフレ率が最も低かったからである。「物価が下がる」ことと「お金の価値が上がる」ことは同じ意味である。日本経済が長期間のデフレ下にあったことが、円高の理由である。

10年、20年先の円相場の予想の答えは「日本の物価上昇率がこれまで同様、他国の物価上昇率を下回り続けるなら円高方向」である。