「仕事をしたつもり」になっていないか?
「仕事をしたつもり」とは以下の状態を指す。
・けっこう一生懸命、仕事をしている
・周りもそれを認めていて、非難する人はいない
・本人はその行為にまったく疑問を持っていない
・しかし、成果はほとんど出ない
多くの人は感覚が麻痺しており、「仕事をしたつもり」という大いなる時間と労力の無駄に気づかなくなっている。
「仕事をしたつもり」5つのパターン
「仕事をしたつもり」は以下のようにして生まれる。
①量の神話
質は見えづらいのに対し、量は一目瞭然で評価がしやすい。そのため、「本当に大切なことは何か」を考えるという困難な行為から逃げ、時間さえかければ誰にでもできる「量」に走る。でも、他人からはその行為が評価される。
・効率的に仕事をこなし、定時に帰ると評価されない
・資料はたくさん作っておけば大丈夫
②ハコモノ志向
意味をあまり考えず、とりあえず形だけやっておこう、といったタイプの「仕事をしたつもり」を「ハコモノ志向」と呼ぶ。中身を考えずに、形だけにこだわる。でも、「ちゃんと頑張っているぞ」と周囲に誇示できる。
・辿り着けないオシャレな地図
・1日200件というノルマ(数値管理)
③本末転倒
細かく例外を認めるのが面倒くさいという会社、何が正当か考えるのが面倒くさい個人、2つの事情からルールは「大義」に集約され、道理が引っ込む。
・本来タクシーで5分の場所に、電車で40分かけて行く
・コピー用紙の裏紙を利用する。本来、再生紙の利用の方がエコ
④横並び意識
「ヨソ様がやっているから、自分たちもやらねば」といった横並び意識に則った仕事は、「仕事をしているつもり」に帰結する。
⑤過剰サービス
売る側と顧客は対等な関係で良い。商品やサービスを提供する側が、過度な顧客の要求に屈し、媚びたり過剰サービスを行ったりすることは「仕事をしたつもり」につながる。
「仕事をしたつもり」からの抜け出し方
「仕事をしたつもり」から抜け出せない理由は次の4つである。
①代わりに何をすればよいかわからない。
②一度群れと離れた行動をとると、無理解な目線が向けられる。
③本物を求める人は最終的に孤独とならざるを得ない
④「仕事をしたつもり」の方が、楽で得である。
「よく考えない」事により、人生の時間と労力は大量に費やされることになる。保身を続けることで、本当の意味での成功や評価とは縁遠い人間になり、「人材市場価値」を失う。
「仕事をしたつもり」から抜け出すには、まず「仕事をしたつもり」を半分にする。残りの半分は「仕事をしたフリ」をすれば良い。残りの半分の時間を真剣に考えることに費やすことである。