本間ゴルフ
本間ゴルフは2人のゴルフ好き兄弟によって創業された。ゴルフ練習場を営んでいた2人は、ゴルフクラブの修復を手掛けることになり、その修復が評判を呼んだ。
ゴルファーにとってクラブとは、武士にとっての刀と同じである。本間ゴルフは「用の美(機能美)を徹底して追求していく。
本間ゴルフは、パーシモンのクラブヘッドにこだわった。しかし、時代はメタルヘッドに変わっていった。ゴルフ大衆化時代が到来し、普通のサラリーマンがゴルフを楽しむようになり、安くて飛ぶクラブが求められた。
本間ゴルフは主流となり始めたメタルヘッドに手を出さず、パーシモンへのこだわりが、本間ゴルフの民事再生法による倒産へとつながっていく。
しかし、このこだわりが再生につながることになる。スポンサーとして名乗りを上げた中国系企業は、メイドインジャパンに投資価値を見出した。
本間ゴルフの匠の技
・ドライバーヘッドのマスターモデルは、100分の1ミリの感覚が必要とされる。
・クラブヘッドでは、CADではなく、木型を作る。
・シャフトは1本Ⅰ本、人の手でカーボンフィルムを巻いて作る。
・「魂で仕事をやっています」という職人を抱える。
再建のためにはまずコストを削減する。しかし、本間ゴルフは、非効率な手作り、自社生産の道を選択した。低価格という道を選ばず、困難な道を選んだことで投資家が手を組みたいとやってきた。
一見、非効率に見えるものにこそ、付加価値があると信じ、その付加価値を高める道こそ、日本企業が進む道である。
コニカミノルタ
中国市場において高価格帯を狙ったビジネスで成功している企業は少ない。コニカミノルタは、中国市場に1台1500〜3000万円もするMFPという印刷・製本機器を販売している。これが官庁などで売れている。組み立ては中国で行なっているが、絶対に中国に工場を移さないのが、プラネタリウムである。
プラネタリウムには、職人の手作業が必要である。星を再現する原板は、レーザーを使ってミクロン単位で穴をあける。そして色ガラスをピンセットで貼付ける。その数は35万個におよぶ。
客の要求が高くなればなるほど、付加価値は高まってくる。高付加価値製品であれば、中国で製造せず、日本で作っても採算が合う。ここに日本が生きる道がある。
そして、日本は高いレベルの職人を育てなければならない。外国には無い高いレベルの職人がいるからこそ、日本国内で製造する意味がある。企業は客が彼らの技術に見合うコストを支払ってくれるように努力すべきである。