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2011/11/27更新

絶望の国の幸福な若者たち

255分

14P

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若者は不幸か?

世代間格差など、日本の社会構造は若年層に「不幸な」仕組みになっているかもしれない。しかし、現代の若者の生活満足度は、この40年間の中で一番高いことが明らかになっている。
国民生活における世論調査によれば、2010年時点、20代の70.5%が現在の生活に「満足」していると答えている。生活満足度は、30代65.2%、40代58.3%、50代55.3%と世代が上がる方が低い。

2011年を生きる若者は、過去の若者と比べても「幸せ」である。

ユニクロとZARAでベーシックなアイテムを揃え、H&Mで流行を押さえた服を着て、マクドナルドでランチとコーヒー、友達とくだらない話を三時間、家ではYouTubeを見ながらSkypeで友達とおしゃべり。家具はニトリとIKEA。夜は友達の家に集まって鍋。お金をかけなくても、そこそこ楽しい日常を送ることができる。

経済が右肩上がりということと、人々の生活が幸福で豊かであるのとは、別の問題である。インターネットも携帯もない、受験勉強が大変だった過去の世代の方がよほど不幸である。

なぜ幸福なのか?

世論調査では、20代の63.1%が悩みや不安を感じている。「不安がある」という20代はバブル崩壊以降、上昇してきた。「幸せ」と答える若者が7割近くいる一方、生活に不安を感じている若者が同じぐらいいる。

人は「不幸だけど、将来はより幸せになれるだろう」と考えることができる時に「今は不幸だ」と答えることができる。つまり、人は「自分がこれ以上は幸せになれない」としか思えない時に「今の生活が幸せだ」と答える。高齢者の生活満足度が高いのは「今の生活」に満足していると答えるほかないからである。

今の若者は素朴に「今日よりも明日がよくなる」とは信じることができないから、「今は幸せだ」と言うことができるのである。

若者の社会志向が高い理由

現代の若者たちは「今、ここ」に生きる生活に満足しながら、同時にどこか変わらない毎日に閉塞感を感じている。どこかでその出口を探している。だからこそ、非日常である「社会」や「公共」というものに渇望を覚える。何かをしたいという「ムラムラ」した気持ちが、若者たちをボランティアなどに向かわせる。

賢明な生き方ではないか

経済成長の恩恵を受けられた世代を「自分とは違う」と見なし、勝手に自分たちで身の丈にあった幸せを見つけ、仲間たちという小さなコミュニティ内のささやかな相互承認と共に生きていくのは、時代に適合した賢明な生き方である。