韓国経済の転換
97年のアジア通貨危機後のIMF管理により、韓国経済のモデルは外人により日本型からアメリカ型市場原理主義へと強制転換されられた。財閥は解体されて株主は外人主体へと変わり、グローバル化と寡占化が押し進められた。「富めるものが富めば、貧しいものにも自然に富が浸透する」とのトルクダウン理論のもと、大企業優遇政策を行いグローバル企業を牽引役とした経済拡大路線に進むこととなった。
トルクダウン理論の破綻
2010年7月、韓国の大統領は『時価総額の上位100社が過去5年間で雇用を1.5%しか増やしていない』と不満を表明した。韓国グローバル企業は好調にみえたが、雇用と税金をもたらすことはなく、経済波及効果はみられなかった。逆に、深刻な産業の空洞化を招くこととなった。
韓国のグローバル企業は海外への投資に注力し、2006年からは韓国の直接投資が国際収支上で大幅な純流出となった。2007年以降の韓国のGDP上の企業による設備投資は減少に転じている。
日本の対韓貿易黒字と韓国の輸出総額に極めて高い相関があることは明確である。つまり、韓国の中小企業が韓国グローバル企業へ資本財を供給する能力がなく、グローバル企業の生産額が増えても韓国以外の生産財輸出国が儲かっている。
疲弊する国民
主要国の輸出依存度をみると、韓国のそれは突出して高く、日本の約4倍。GDPに占める輸出依存度は40%を超えている。
韓国は極端なグローバル化を進めた結果、世界的な低賃金競争に巻き込まれて、日本の4倍の悪影響を受ける状態となっている。
2007-2009年の実質賃金変動率をみると、韓国は日本を上回る下落率を示している。(韓国:▲1.8%,▲1,5%,▲3.3%。日本:▲0.1%,▲1.9%,▲1.9%。)
また、2010年12月の輸入物価が前年同月比12.7%上昇したように、極端に進めたウォン安の弊害による強烈なインフレ圧力が抑えきれなくなってきている。
賃金下落の状況下、寡占化が進んで競争環境にない中で質の悪い商品・サービスを高い値段で買わざるを得ないのが、韓国国民の現状である。
韓国企業の間逆の政策で、日本は復活する
韓国では、政府は大規模な減税、国民は大幅な賃金下落と物価高騰を受け入れて我慢したが、得をしたのはグローバル企業の株主である外人のみであった。
反面教師の韓国の考察を経て、以下の通りに日本復活へむけた提言をする。
・国内市場における過当競争維持
・グローバルスタンダードの否定と、すり合わせ形製品開発への回帰
・法人税の引き下げではなく、重点分野への投資減税の実施
・国内投資の拡大(投資減税などによる)
・役員報酬と従業員給与の差を現在の水準で維持する