震災からの復興と財政再建を両立させるには「円の国際化」が必要であると説く。円の国際化とは、具体的に円建ての外債を発行する事を指している。外国から円建てで資金調達することで、円の国際通貨としてのポジションを上げて、対外投資からのリターンを狙おうと主張している。
アメリカは基軸通貨国としての地位を利用して、金融立国を目指した結果、世界金融危機をもたらした。現在、その反省から製造輸出立国への方針を唱えるアメリカに対し、日本はあえて金融立国を目指すのか。
日本経済を復活させる1つのアイデアが書かれています。
現在の日本経済の行き詰まり状況は、高度経済成長期以来、恒常的な経常収支黒字国として莫大な対外資産を積み上げながら、対外資産の増加に応じて本来なすべきであった円の国際化を怠ったことに原因がある。
円が国際化されることにより、グローバル経済を行き交っている莫大なマネーが、日本にも還流してくることになる。日本は莫大な金融資産を手元に抱えているのだから、いかにその利点を活用するかを考えるのが賢い戦略と言える。対外投資のリターンを高め、グローバルマネーの循環の中に自国経済を置き、競争力を失いつつある製造業の穴を補うことが大切である。
著者 櫻川昌哉
1959年生まれ。慶應義塾大学経済学部 教授 大阪大学経済学部助手、イエール大学客員研究員、名古屋市立大学大学院経済学研究科教授を経て、2003年より現職。日本金融学会誌『金融経済研究』編集責任者。
日本経済新聞 |
経済界 2011年 9/6号 [雑誌] |
エコノミスト 2011年 9/20号 [雑誌] |
週刊 東洋経済 2011年 9/24号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 6分 | |
第1章 「震災からの復興」と「財政再建」は両立できる! | p.17 | 34分 | |
第2章 「円の国際化」が日本経済を救う | p.67 | 33分 | |
第3章 「通貨」は世界経済を映す鏡 | p.115 | 26分 | |
第4章 「円高」は信用力の証 | p.153 | 27分 | |
第5章 日本復活を可能にする「通貨外交」 | p.193 | 23分 | |
第6章 明日の日本を築くために | p.227 | 28分 | |
おわりに | p.268 | 1分 |