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2012/01/14更新

日本経済の底力 - 臥龍が目覚めるとき (中公新書)

138分

10P

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復興と成長

自然災害の種類によっては、災害が多い国の方が長期的には経済成長率が高い傾向にある。これは長期的な経済成長の源泉は「技術進歩」にあるからである。
甚大な自然災害によって旧式の生産設備や技術の基盤が失われれば、復旧の過程では新式の設備を導入して最新の技術を取り入れる他ない。その結果、新しい技術の普及が飛躍的に早まり、自然災害によってむしろ長期的には経済成長率が高まる可能性がある。
また、国全体の「制度」が災害・戦争を機に大転換し、新しい技術を導入したり技術革新を起こしたりしやすい経済の基盤が整えられることも要因として考えられる。

関東大震災の経験や、震災と経済成長に関する各国のデータから、日本経済は遠からず震災前の経済成長のトレンドを取り戻すことは断言できる。

経済成長の鍵

しかし、日本は震災前から長期にわたって凋落しており、単に震災前の状態に「復興」するだけでは、10年後の日本はもう先進国とは言えなくなってしまうかもしれない。だから、抜本的な改革によって、日本に復興を超えた飛躍的成長をもたらす必要がある。

飛躍的成長のための手段としては、以下の2点を提案する。

①グローバル化
TPPをはじめとするEPA(経済連携協定)の締結や企業に対する情報支援によって、日本経済をさらにグローバル化し、外国との貿易、投資、知的交流を活発化させる。

②産業集積
東北など日本各地に特区をつくり、高度な技術を核とする産業集積を創出する。

経済成長の源泉は新しいアイデアや技術の創造である。人々がつながって情報交換し知的に刺激し合うことで湧き出てくる。よって、産業集積やグローバル化によって、日本経済は復興を超えた飛躍的成長を成し遂げることができる。

TPP賛成

輸出や海外直接投資といった企業のグローバル化は、生産性を上昇させる。輸出や投資によって生産規模が拡大し、生産効率が良くなるからである。また、グローバル化により海外から技術やアイデアを学ぶ戦略はイノベーションをもたらす。

日本には生産性が高いにもかかわらずグローバル化せずに国内に留まっている企業が非常に多い。これは日本には底力があり、もっとグローバル化するのは難しくないということである。潜在競争力のある企業が国内に留まる理由は①情報不足、リスクを取りたがらない点にある。これらの要因を取り除けば、日本経済の飛躍的成長につながる。

企業がグローバル化していくために最も有効な手段は、外国とのFTAやEPAである。外国の関税が引き下げられれば、日本製品は安くなるので、輸出が拡大する。