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スペンド・シフトは、以下のように消費やビジネス、暮らし変えていく。

借金から貯蓄への流れが生まれている

消費は回復するが、倹約精神は生き続ける。今後は所得を上回るペースで消費支出が増えることはない。今日では消費にまわるのは汗水流して稼いだお金である。そのお金を何に費やすかはこれまで以上に大きな意味を持つことになる。

借金の時代はモノが主役だったが、貯蓄の時代、世の中を動かすのは「意味」である。シンプルで無駄の少ない、慎み深い生き方への回帰が起きている。

消費者という概念を捨てて「顧客」ととらえるべきである。

危機後の時代には「消費者」という言葉はお金を使う人を軽視した呼称と捉えられかねない。消費の担い手は慎重に買うことによって、企業に「より多く」から「よりよいものを」への転換を迫る。私たちはブランドの選択を通して自分の理念を示して自尊心を満たす。

個人商店から大企業まで、売り手は絶えず顧客の意見に耳を傾け、対処とイノベーションを繰り返す必要がある。

企業は個人の集まりである

組織への信頼が損なわれた今の時代、先進的なビジネスは個人主義をよりどころに展開する。企業は人材を競争優位の源泉として大切にする。あらゆる階層の従業員が会社の顔として最前線に立ち、顧客と会社との距離を縮める。私たちはモノやサービスではなく人や経験に対してお金を払う傾向を強める。

消費者の厳しい目が市場に変革を迫っている

最近の消費者は、他者との交流において、人間的で人道的な取引を重視している。そして、企業にも同じ基準を当てはめ、質実剛健、透明性、説明責任を求める。ブランド資産は決して盤石ではなく、世間の信頼を保てるかで浮き沈みする。

これからのビジネスモデルを支えるのは寛容の精神である

20世紀には、企業は情報面での優位を活かしてビジネスを行っていた。しかし今日では顧客が利用できるデータは企業をも凌ぐ。企業は顧客の輪の中に入り、彼らについて多くを知ろうと、寛容に振る舞う。親切さや共感がビジネスの世界での差別化要因になっている。

消費から創造へと社会の軸足が変化している

大不況後の経済では、難局を打ち破る力を持ち、自立していることが美徳とされる。信望を得られるかは、何を持っているかではなく、そのような知識を持ち、何を創造するかで決まる。人々は学習意欲を高め、励ましを求めている。

アメリカは理念にもとづくイノベーションの新興市場である

国内需要が減退する状況の下、アメリカ全体として大量消費から上質生産へと軸足を移さなければならない。この移行が起こると、一握りの顧客だけが目を留めて心からその良さを理解してくれるような市場に、理念にもとづくイノベーションを通して、モノやサービスが届けられるようになる。