心の動きを生物の進化に基づいて考える「進化心理学」の観点から、人間の心の本質を解明している。なぜ錯覚を起こすのか、なぜ記憶は歪められるのか、なぜ噂を信じてしまうのか。人間の心の動きの由来をわかりやすく説明している。
人がだまされるのは、人間の進化と関係しており、元々「他者を信じやすい」という遺伝的特性を持つからである。
人類が現れた300万年前から1万年前までは狩猟採集の時代であり、人間は小集団で生きてきた。そのため他者は協力集団のメンバーであり、信じることが集団を一致協力させる上で有利であった。
最近1万年の数百人以上の規模で交流が行われる文明社会では、様々な見解が錯綜するようになった。そのため、私たちは信じること以外に、適切に疑うことも大切である。
著者 石川 幹人
1959年生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部教授 企業および国家プロジェクトの研究所を経て、現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。学部・大学院では、生物物理学・心理物理学を学び、企業では人工知能の開発に従事。遺伝子情報処理の研究で博士号(工学)を取得。専門は認知情報論および科学基礎論
週刊 東洋経済 2011年 9/17号 [雑誌] |
エコノミスト 2011年 9/27号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 5分 | |
第1章 錯視 高度な視覚機能のなせるわざ | p.15 | 14分 | |
第2章 注意 明らかな変化なのに気づけない | p.37 | 17分 | |
第3章 記憶 歪められたり、作られたり | p.65 | 16分 | |
第4章 感情 集団を支える怒りと恐怖と好奇心 | p.91 | 14分 | |
第5章 想像 壁のシミが幽霊に見えるわけ | p.113 | 12分 | |
第6章 信念 なぜ噂を信じてしまうのか | p.133 | 20分 | |
第7章 予測 将来の危機を過小評価する心の働き | p.165 | 15分 | |
おわりに | p.189 | 4分 |
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