資金繰らないための3つの戦術
「資金繰らない経営」には、以下の3通りの戦術しかない。
①内部留保を高める
内部留保(会社の内側にためた利益)が十分にあれば、少し調子が悪くなっても、会社は体力的に持ってくれる。調子が良い時に会社に資金をプールしておく。
②収支構造を変える
「収支」とは「損益」と違って、キャッシュの出入りのバランスのことである。同じ売上でも前金なのかそうでないのかで、収支構造上には天と地の違いがでる。「手付金」のようにできれば「前回収」、さらにできるだけ「後支払」の収支構造に変えていく。
③財務部門を任せる
イケてるCFO(最高財務責任者)を雇う。CFOに資金繰りを任せることで、社長は本業に集中できるようになる。
この経営戦略が成立するためには、「黒字を出すこと」が絶対的条件になる。
資金繰りを考えなくていい会社が考えていること
①前金ビジネスしかやらない
②在庫ビジネスはやらない
③設備投資は1年以内に回収している
④新規事業は基本的に外注でテストしている
⑤内製化した方がコスト削減できる場合のみ雇用している
⑥但し、人件費は末締の翌月支払い
キャッシュを増やす8通りの方法
財務諸表の内訳は大きく「資産」「負債」「資本(純資産)」「費用」「収益」の5部門で表現される。この5つで整理して考えると、キャッシュを増やすには以下の8通りの手法しか考えられない。
①キャッシュ以外の資産を売ってキャッシュインする
②設備投資を控えてキャッシュアウトを止める
③借入を行ってキャッシュインする
④借入の返済を止めてキャッシュアウトを止める
⑤増資をしてキャッシュインする
⑥配当を止めてキャッシュアウトを止める
⑦増収等をしてキャッシュインする
⑧コスト削減をしてキャッシュアウトを止める
改善することが大切
極端な話、固定費がゼロの会社は売上がゼロになっても赤字にならなくて済む。固定費の少ない会社、固定費を限りなく減らそうとしている会社こそ「資金繰らない経営」を実践していることになる。
コストカットで間違いやすいのが、まず「原価」に手をつけてしまうこと。そうではなく、「固定費」を削ることが、費用削減において最も重要である。
究極の「資金繰らない経営」は、「前回収」で、できれば「在庫」を持たず、さらには「営業キャッシュフロー」のみで儲ける経営である。非現実的だと言う人もいるが、やらずにダメになるよりやってダメになった方がいい。成功者のほとんどが「改善」を続けて「成功」を手に入れている。