BtoBビジネスの基本的性質
BtoBとBtoCは、顧客の違いによる分類であるが、BtoB取引には以下の性質がある。
・提供される財は、生産活動や業務遂行に必要な「ビジネス財」である。
合理的で客観的な意思決定がなされる。
・購買側は組織的な意思決定を行う。
・購買が定期的に行われることが多い。
・取引1回当たりの購買金額や購買量が大きくなるケースも少なくない。
購買担当者は製品選択の失敗リスクを回避しようとする。
過去の利用経験に基づく製品知識や信頼関係に基づいて取引相手を選択する。
こうしたBtoBビジネスの特質が「BtoBにマーケティングやブランディングは必要ない」という誤解を生み出している。
BtoBビジネスの環境変化
これまで品質やスペック、調達コスト、納期などにのみ注目した営業活動を展開する企業が多い中、マーケティングに目を向ける企業も散見されるようになってきている。
その理由は以下のようなビジネスの環境変化による。
・企業間競争のグローバル化により、新規顧客の取り込みの重要性が増している。
グローバル市場では、従来の既存顧客を相手にした取引だけでは生き残れない。
・購買活動に調達先の選定に関わる透明性の確保や系列関係の見直しの動きがある。
・調達・購買の集中化と分散化が同時に起き、組織購買が多様化している。
従来通りの人的営業に依存したやり方では効率が悪くなってきている。
・購買側に品質やスペックを判断できない関与者が増加している。
製品の良し悪しによる合理的判断でなく、感情面も影響を与える。
・顧客のソリューション志向が高まっている。
・市場の成熟化に伴い、ブランディングによる付加価値の取り合いが生じている。
BtoBマーケティング
日本のBtoB企業のマーケティングで特に欠けているのは「顧客の購買プロセスの理解」と「市場細分化・ターゲティング」である。
①購買プロセスの理解
自社で扱う製品の購買プロセスが、どのようなステージを経るのか理解し、購買ステージに応じた適切な施策を展開することが重要である。自社の潜在顧客が、成約までのどこで離脱しているのか、次のステージに進めるには、どのようなプロモーションが必要かを分析する。
②市場細分化
市場細分化の軸には、従業員規模や企業規模、使用方法、組織の文化、組織の形態などがある。市場細分化によって、顧客の多様なニーズに対し、焦点を絞った的確な対応を行うことが可能になる。
③ターゲティング
細分化された市場に対応するには「集中化」「専門化」「フルカバレッジ」という3つの選択肢がある。BtoB企業でも、市場ニーズを把握し、忠実に反映した製品を市場に提供していかなければならない。