これまでマーケティング活動に積極的に取り組もうとするBtoB(企業間取引)企業は限定的であった。マーケティングは、最終消費者によって構成されるマス市場に対する活動が目的とされてきた。
BtoB領域における対市場活動は、人間関係を重視した営業活動が中心であり、企業同士、担当者同士の過去の取引実績や「信用」が重視される傾向にある。つまり、特定の既存顧客との長期的な取引が中心であり、企業間の取引接点の強化は、主に納入側企業の人的営業活動によって担われてきた。
しかし、近年はBtoB領域において顧客に対するマーケティング活動の重要性が認識されるようになってきている。本書では、BtoB取引におけるマーケティングを対象としており、企業間取引を行っている経営者に役に立つ内容となっている。
これまでマーケティングと言えば、最終消費者を対象とした考え方が強かった。しかし、グローバル化や顧客の購買活動の多様化により、BtoB取引においてもマーケティング、ブランディングの重要性が増している。
日本のBtoBマーケティングにおいては、顧客の購買プロセスの理解と市場細分化・ターゲティングが不足している。自社の製品がどのような購買プロセスを経るのかを理解し、離脱した場合には分析し、施策をうつ。顧客規模などの軸で市場を細分化し、ターゲットに応じた対応を行うことが重要である。
BtoB取引はビジネス材を扱うため、合理的な購買判断がなされるが、感情面での影響も受けることがわかっている。そのためにBtoB取引であっても企業のブランディング活動は重要である。
著者 余田 拓郎
1960年生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授 大学卒業後、住友電気工業入社。その後、名古屋市立大学助教授などを経て、2007年より現職。
日本経済新聞 |
エコノミスト 2011年 9/20号 [雑誌] 流通科学大学学長 石井 淳蔵 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章 BtoB企業の現代的課題 | p.1 | 18分 | |
第1章 BtoBマーケティングの戦略論理と実践 | p.23 | 18分 | |
第2章 BtoBビジネスにおける市場の理解 | p.45 | 15分 | |
第3章 ブランディングによる市場深耕 | p.63 | 25分 | |
第4章 成分ブランドによる部品・素材メーカーの戦略強化 | p.93 | 28分 | |
第5章 営業人材による顧客関係の強化 | p.127 | 23分 | |
第6章 BtoB企業における顧客満足経営 | p.155 | 16分 | |
第7章 インターネットによるBtoBマーケティングの戦略進化 | p.175 | 16分 | |
第8章 BtoB企業におけるマーケティング組織と市場志向 | p.195 | 22分 | |
あとがき | p.222 | 4分 |
ドラッカー名著集2 現代の経営[上] [Amazonへ] |
B2Bブランディング―企業間の取引接点を強化する [Amazonへ] |
ゼミナール マーケティング入門 [Amazonへ] |