仕事以外の世界を持つべし
人は持てる時間やエネルギーを2つ以上のものに振り分けなければならない。違う世界の人と生き、汗を流す。そうすれば、小さな世界の小さな価値観にとらわれずに済む。
そういう生き方ができれば、何かにつまずいても人生がダメになったりしない。また、世界を広げることによって、いろいろな人たちと会うことができ、人生が豊かになる。
「人の成長」はドラッカーの中心テーマの一つだった。経営者に助言するにも、まず人としての成長を念頭に置いた。
多面的な人生を生きるには、心楽しむものを仕事以外の世界にも見出すことである。「いくつもの世界を同時に生きる」これがプロフェッショナルとしての人生を志す者にとっての最高の戦略である。
ドラッカーは、仕事以外のことに興味を持つことが、自分の世界を広げるコツであるとしていた。実際に、絵画、音楽、文学、歴史などに興味を持ち、それを執筆と講義、コンサルティングに生かしていた。
現在の自分を知り時間を捻出せよ
世界を広げるには、まず現在の姿を知ることが必要である。そのために「トータルライフ・リスト」を作成すれば良い。人間関係、活動のリストを作成し、眺める。自分が何に時間を使っているかを意識し、変化させたい部分を「見える化」することである。
いくつもの世界で豊かな人生を手にするには、何より時間を捻出しなければならない。リストを作成したら、行うべきでないことで、いかに時間が食い潰されているかに気付く。行いたいことよりも、行われるべきことを優先し、止めるべきことを決断する必要がある。
・過去ではなく未来を選ぶ
・問題ではなく機会に焦点を合わせる
・横並びでなく独自性を持つ
・無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ
活動範囲を広げ、教え学べ
ドラッカーは「未来を予測する最も優れた方法は、未来を自ら創造することである」と述べている。未来を創造する最善の方法は「人生の多面化」に取り組むことである。知識やスキルを強みに合わせ、そこを起点にパラレルキャリア(もう一つの仕事、楽しみ)とセカンドキャリアを構想することが大切である。
世界を広げる上で不可欠なものに、心を大きくすることがある。NPOやボランティア、社会的企業、メンタリングに時間とエネルギーを傾けることで、仕事と人の器が大きくなる。
また、ドラッカーは世界を広げるために、教えかつ学ぶことの重要性を説いている。教え、学ぶことは、何かにかかわり、人としての成長を手にする機会である。この事が自分の世界を広げる生き方の要となる。