「経営の神様」とまで崇められた松下幸之助の評伝。
松下幸之助の実家の破産、丁稚奉公時代、ソケット製造会社の設立。その後、戦後の松下電器の危機から、発展の歴史まで紹介されている。松下幸之助の第二夫人スキャンダルや家名再興への想いなど、松下幸之助を知る1冊。
起業物語としても楽しめ、また人間松下幸之助を知る上でも最適。自分の孫にトップを継がせるための執念、晩年の会社経営に留まるために講じたことなど、美談とは言えない人間的な側面についても書かれている。
■松下家の破産
松下家はかつて名字帯刀を許された地主の階級に属していた。幸之助の祖父の時代には隆盛を極めた。しかし、幸之助の父、政楠は米相場の取引に失敗し、先祖伝来の田畑、家屋敷を失ってしまった。一家は、大八車二台に家財道具を積み込むと、追われるように和歌山市内に引っ越していった。
政楠は一家の生活を立て直すべく、下駄店を開業したものの約2年余で閉店。相場から足を洗えなかったのが原因であるようだ。
尋常小学校を4年で中退し、幸之助がふろしき一つで、ひとり大阪に旅立ったのは、十歳になる誕生日の直前であった。明治37年のこの頃は、日露戦争の勃発で世相は暗く、旅順総攻撃で連日苦戦が伝えられた。日本海会戦でバルチック艦隊を破り日本が沸くのは翌年のことである。
著者 岩瀬 達哉
1955年生まれ。ジャーナリスト 大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、1983年フリーとして活動を始める。噂の真相や週刊現代を主な活動の場として、年金問題や記者クラブ制度に代表されるマスコミの体質ついての報道を中心的に行っている。 2004年、『年金大崩壊』『年金の悲劇』により講談社ノンフィクション賞を受賞。また、同年「文藝春秋」に掲載した「伏魔殿社会保険庁を解体せよ」によって文藝春秋読者賞を受賞した。
日本経済新聞 |
WEDGE 9月号 |
週刊 ダイヤモンド 2011年 8/27号 [雑誌] |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 里道を抜けて | p.7 | 12分 | |
第一章 “神話”の始まり | p.23 | 15分 | |
第二章 十一歳の家父 | p.41 | 16分 | |
第三章 家族三人の作業場 | p.60 | 11分 | |
第四章 師であった男 | p.73 | 13分 | |
第五章 ラジオの時代 | p.88 | 14分 | |
第六章 一大コンツェルンの誕生 | p.105 | 16分 | |
第七章 ある海軍大将の日記 | p.124 | 22分 | |
第八章 義兄弟の違う道 | p.150 | 14分 | |
第九章 崩れゆく王国 | p.167 | 14分 | |
第十章 新たな市場へ | p.184 | 12分 | |
第十一章 密使のアメリカ工作 | p.198 | 14分 | |
第十二章 シナリオにない涙 | p.215 | 13分 | |
第十三章 燃え上がる老松 | p.231 | 13分 | |
第十四章 君臨する「教主」 | p.246 | 14分 | |
第十五章 八十五年の時を経て | p.263 | 14分 | |
終 章 ふたつの家族 | p.280 | 10分 | |
あとがき | p.292 | 3分 |