不動産神話 〜持ち家は賃貸より得だ〜
マイホームは不動産投資と同じであり、株式や債券などの金融資産と変わらない。マイホームという資産から家賃という配当を得ている事と変わらない。
資産運用では分散投資によってリスクを軽減させることが大切である。しかし、マイホームを購入すると個人の資産ポートフォリオは一極集中型になってしまう。
マイホームが得だとされるのは、住宅ローンを使ってレバレッジをかけているからであり、ハイリスク・ハイリターンの投資をしているに過ぎない。バブル崩壊による地価下落や大震災と原発事故で不動産を所有するリスクは誰の目にも明らかになった。
バブル崩壊以降、マイホームを買った人はひたすら損をし続けている。住宅ローンを払い続けている限りは、不動産投資のリスクは顕在化しない。しかし一度、職を失えばマイホームを売っても、ローンを返済できないので、人生の経済的な基盤を一挙に失ってしまう。
会社神話 〜大きな会社に就職して定年まで勤める〜
サラリーマンになるということは、会社から毎月給料という配当を受け取り、退職金として元金が償還される債券を買うようなものである。戦後の高度経済成長以降、この国では、人的資本のすべてを会社に投資することが人生設計における経済的な利益を最大化する最適戦略であった。
しかし、バブル崩壊以降、会社は絶対に潰れない事を前提としたこの成功の方程式は崩壊した。大手企業でも頻繁にリストラが行われるようになり、サラリーマンでいることのリスクが顕在化してきた。
円神話 〜日本人なら円資産を保有するのが安心だ〜
外貨建てで評価すれば、円資産の比率が大きければ、総資産は円高によって増える。円安になれば石油などの輸入商品の価格が上昇し、日本人の生活は貧しくなる。私たちは円資産が価値を失うリスクを考えなくてはならない。
国家神話 〜定年後は年金で暮らせばいい〜
年金は日本国が支払いを保証している。円預金と年金は共に日本国にリスクを集中させているという共通点がある。国にも財政破綻というリスクがある。少子高齢化によって、社会保険制度の崩壊は避けられない。
国家が破綻すると高金利、円安、インフレの3つの現象が引き起こされる。そうなれば、最も貯蓄の少ない年金生活者が最大の被害者になる。
ポスト3.11の人生設計
4つの神話の崩壊によって、顕在化した経済的リスクに対してできることは以下の通りである。
・目立って良い評判を獲得し、転職を可能にする。(会社に依存しない)
・スペシャリストを目指す。
・転職を前提として、最も得意なことを探す。
・自分と家族を守ることができる最低限の金融資本を持つ。