仕事に前向きで忍耐強い人であれ
松下幸之助創業者は、十代の時に電燈会社に入社し、配線工として電気工事の仕事をしていた。夏の暑い真っ盛りに、天井裏に入って配線をするという仕事は、非常につらい仕事であった。しかし、同じ仕事をするなら、元気よく楽しくやった方がいいと心掛けた。
逆境にいる時、自身が沈んでしまったらダメである。「つらいなあ」と思ってしまったら、そこで自分の成長は止まる。社長の成長が止まれば、会社の成長も止まる。組織は、トップの人格・度量以上にはならない。組織を立派にするなら、リーダーが立派な人物にならないといけない。
大事なのは率先垂範
20代後半の時、一番やらなければいけないと思ったことは、創業者がよく言われる率先垂範であった。出向社員の時、周りは年上ばかりで四面楚歌だった。そこで、販売店の親父さんや店員さんとも、夕方からでもカレーテレビをトラックに積んで訪問販売などもした。出向期間が終わる頃には、販売会社の全員が見送りに来てくれた。
人の心をつかんでいるか
社員は大抵、トップの発言など聞いていないと思った方が良い。人事が公平か、という事で会社や経営者の姿勢を判断している。
撤退するという資質
経営者としての資質・能力で一番重要なものは、撤退する能力である。自身の最大の撤退として、松下通信工業、九州松下電器など5社を子会社化する事があった。そうする前は、グループ全体で一兆円もの重複事業があった。撤退するには、始める時以上に勇気や信念が要る。
素直に、あるがままにものを見る
「素直」という創業者の言葉がある。創業者が言う「素直」であるとは、考え方を少し変えてみると、目線の問題になってくるのだと思っている。会社は上下関係で動いているので、ともすれば上司は「上から目線」になる。人というものは組織の中にあっても、常に対等であるべきである。常に「あるがままに見つめる」という習性を身につけようと、努力だけはしていた。
すべてに学ぶ姿勢があるか
商売人の会社であるパナソニックにとって、お客様第一を実現するには「お客様の顔がいつも見えている」ことが必要になる。そのためには、まず厳しいお客様や取引先の会社から逃げないことである。クレームがあったら、まず自分が行く。そういう事から、お客様の顔が見えてくる。
目的を明確にし、実行するのがリーダー
創業者の仕事のやり方には「事業というものは100%成功するものだ」という考え方が根底にあった。その上で決断し、目的を明確にする。
創業者は、松下電器という大きな「円周」で、PDCAを回していた。決して「俺についてこい」式の経営ではなく、社員に任せて、足りないところがあれば自分で補うことをしていた。