中国では、大学を卒業したにも関わらず、コネを持たないばかりに、就職できず貧しい生活を送る若者たちが多数いる。彼らは都市部周辺に村を形成し、仕事を転々とし、日々の糧を得ながら、将来の夢を描いている。彼らの実態を調査し紹介する事で、中国国内でベストセラーになった書籍。
前半は、「蟻族」と名付けられた高学歴ワーキングプアたちの特徴を紹介。後半は、その村落で暮らす若者数名の実生活が描かれている。
日本の非正規雇用者の問題以上に過酷な現実が描かれている。
「大学を出ている」「所得が低い」「一カ所に集まって暮らしている」この3つの特徴を持つ集団を「蟻族」と呼ぶ。彼らは、都市と農村の境界地帯か近郊の農村に居住し、村落を形成している。
大学を卒業しても、コネを持たないため、良い仕事を得られない一方で、村へ戻ることもできず、貧しい生活を送っている。挫折感や焦燥感といった精神的な問題が深刻であるが、同時に楽観的で明るくもあり、自分の選択を信じ、ゆっくりとした下積みの中で未来の飛躍を期待している。
こうした社会階層は危険もはらんでいる。夢破れた瞬間に、人生を社会のせいにし、自分と社会を対立させる。これを放置すれば、重大な社会問題を引き起こす可能性がある。
著者 廉 思
1980年生まれ。対外経貿大学副教授 専門は法政治学、法経済学。管理学修士、法学博士。中国共産党員。
週刊 東洋経済 2011年 8/20号 [雑誌] 東京大学教授 高原 明生 |
BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌] 中国文学者 福嶋 亮大 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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Ⅰ 「蟻族」誕生記 | p.3 | 13分 | |
Ⅱ 「蟻族」のすべて | p.25 | 30分 | |
Ⅲ 「アリ」伝奇 | p.67 | 127分 | |
日本の読者へ | p.243 | 4分 |
今後、経済発展により、こういった問題も解消されるのだろうか。そもそもどこまで大学卒の知識労働者の需要はあるのだろうか。
2011-12-08
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