なぜ日本はうまくいかないのか
日本がうまくいかない理由は、行われてきた政策に問題があったからである。そして、個々の政策の背景にある考え方に問題があるからである。それは、政治家や識者と言われる人々が、普通の人々の自発的な力を信じていないという点である。
つまり、政治が人々を信頼せず、恣意的で浅はかで無用な指示を乱発することが問題である。政府があれこれと指示する政策がうまくいったためしがない。
どうすれば良いか
人々の自発的な力を引き出すのはバラマキ政策であり、金融政策である。政府が主導で政策を行うよりも、バラマキによって、国民に金銭給付を行った方が効率的である。
例えば、公共事業にしても無駄が多い。鉄とコンクリートと建設機械を使って工事する。工事をしている地元の人に落ちるカネはわずかである。鉄とコンクリートと建設機械の代金の多くは、都会の大企業に落ちる。さらに作ったものが役立つなら良いが、維持費がかかる箱モノだとたいしてカネは落ちず、後からカネがかかるばかりになる。
建設業で働く人も高齢化してしまった。直接に年金として配ったほうが、鉄とコンクリート代金がかからないだけ安上がりである。医療費や介護費の心配を少なくすることに使った方がずっとましである。
政策は無駄が多い。バラマキの方が効率的。
①農業補助金
日本の農業は2.5兆円の財政補助金、2.1兆円の価格補助金をもらって、わずか5.6兆円の生産しかできず、6.7兆円の輸入をしている。補助金のシステムとしては非常に非効率である。
関税収入と財政補助金の合計6.5兆円をすべて農家に配ると1戸あたり平均約400万円となる。これを農産物の販売額に応じて個々の農家に補助金として支払った方が、9割以上の農家は賛成すると確信する。つまりバラマキの方が効率的であろう。
②高速道路無料化
道路を作って工場が来れば、その地域の所得は増える。それは地域にしか恩恵を及ぼさない。この政策を取る国家の正当性は、道路を作る以上に税収が上がることだが、現在ではそのような開発プロジェクトを見いだすことはできなくなった。
高速道路においては、料金を取り続ければ、その資金でいくらでも利用されない高速道路を作り続けることになる。利用されていない高速道路を無料にすれば、その分だけ、新たに利用されない高速道路を作る資金が減る。無料化の方が有益である。
日本の場合、これまでの直接給付(金銭以外の国家提供サービス)には無駄が多い。民主党の「コンクリートから人へ」というかつてのスローガンは正しい。現在、安易に増税して社会保障支出を賄っていると、将来大変なことになる。当面の財政問題赤字増の問題は、金銭給付増のために直接給付減をできなかったことである。