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2012/04/14更新

大震災からの出発 ―ビジネスモデルの大転換は可能か

302分

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東日本大震災が日本経済に与える影響

①すでに影響が生じている問題
鉱工業生産は、2009年3月に過去最大の落ち込みとなった。生産がストップして輸出が急減し、貿易収支は赤字へ。国内サプライチェーンはいずれ復旧し輸出も回復するが、火力発電シフトに伴うLNG等の輸入量増加は、今後も継続する。

②生じることは確実であるが、定量的に把握しにくい問題

1 中長期的な電力制約
電力の量的制約は全国的な広がりを持つ問題となった。原子力から火力へのシフトによって電力コストが上昇する。日本の電気料金は国際的に見てかなり高いが、それがさらに高くなる。

2 復興投資とそのファイナンス
復興特需が日本経済を拡大させることはない。なぜなら、震災後の日本では電力制約などによって、供給能力に深刻なボトルネックが生じているからだ。したがって、ケインズ経済が想定する乗数効果のメカニズムが働かない。経済全体の需給をバランスさせるためには、総需要が減少しなければならない。そうしなければ、インフレが発生して強制的に需要が削減される。しかも、復興投資によって需要はさらに増えるが、供給制約により復興投資は有効需要にはならない。他の需要の減少によってそれが調整されなければ、クラウディングアウト(政府支出の増加が利子率を上昇させ、民間の投資を減少させる現象)を引き起こす。

③重大さや深刻さが十分には認識されていない問題
電力供給の不安定性やコスト上昇によって、海外移転がさらに加速する可能性は、きわめて高い。また、復興投資の増加で金利が上昇すれば、国内での工場再建が不利になる。金利上昇が円高をもたらせば、さらにその傾向が強まる。

したがって、製造業に代わって雇用を生み出す産業を作ることが、どうしても必要だ。

クラウディングアウトの回避のために

消費だけで調整せず、実際には輸入増大、輸出減少によって回避される可能性が高い。
最悪な選択は、増税をせず、かつ円高を許容しないことだ。そして金利の上昇を防ぐために金融緩和を行うことである。
国債価格の暴落を防ぐために日銀引受で国債が発行されれば、インフレが生じて消費支出が削減される。したがって、基本的には復興財源は税金(所得税、法人税などの基幹税の臨時的な増税)という選択になる。しかし、もっと良い選択は対外資産を使うことである。

省電力型産業への転換が求められる

新興国が工業化したため、先進国における製造業の優位性は低下した。新興国で提供できない専門的で先端的なサービス産業を成長させない限り、新しい世界経済の環境の中では先進国としては生き延びられない。サービスの貿易立国へ転換する必要があるのだ。アメリカは脱工業化を進め、生産性の高いサービス業(先端的金融、IT技術を応用したもの)へ転換が進んだ。