異質の次の社会「ネクスト・ソサエティ」がやってくる事は間違いない。ネクスト・ソサエティは次のような変化によりもたらされる。
雇用形態の変化
少子高齢化、企業組織の短命化により、雇用形態に大きな変化が起こる。今から20、25年後には、組織のために働く者の半数は、フルタイムどころか、いかなる雇用関係にもない人たちとなる。特に高年者がそうなる。
企業やあらゆる組織とって、雇用関係にない人たちをいかにマネジメントするかが課題となる。
市場の変化
若年人口の急減は、政治的には移民の受け入れが問題となる。経営的には国内市場を激変させる。これまで先進国は、国内市場において家族形成の増大によって成長してきた。しかし、これからは大量の若年移民を受け入れない限り、家族形成は減少していく。第二次世界大戦後に出現した大量消費市場は、若年中心の市場であったが、これが中高年中心の市場となる。
高度の競争社会
知識社会としてのネクスト・ソサエティには3つの特質があり、組織にとっても一人ひとりの人間にとっても、高度に競争的な社会となる。
・知識は資金よりも容易に移動するため、いかなる境界もない社会となる。
・万人に教育の機会が与えられるため、上方への移動が自由な社会となる。
・万人が勝てる訳ではないため、成功と失敗が併存する社会となる。
さらに競争はITによって、グローバルになる。
製造業の地位低下
製造業が農業と同じように社会的地位を低下させつつある。日本の製造業雇用は全就業者人口の1/4と、先進国では最高の水準にあり大きな問題である。
製造業の地位の変化は、新たな保護主義をもたらす。この保護主義は関税によるものではなく、補助金、規制等によるものである。しかし、過剰雇用の成熟産業に金を注ぎ込む政策は害をなすだけである。それらの金は、一時解雇された高年者を助け、若年者を再教育し再雇用するために使わねばならない。
企業の形の変化
以下のパラダイムの変化により、企業の形は変化してく。
①1970年頃から知識が主たる生産手段、即ち資本となった。知識は一人ひとりの知識労働者が所有し、携帯可能である。よって、知識労働者は企業にとってのパートナーとして同格になった。
②多くの働き手が正社員ではなく、様々な雇用形態で働くようになった。
③企業活動に必要とされる知識の高度化、コミュニケーション・コストの低下により、アウトソーシングが一般化した。
④顧客の方が多くの情報を持つ事になった。
⑤いかなる企業にも、独自の技術というものがありえなくなった。事業の発展は、企業の内部からではなく、他の組織や技術とのパートナーシップなどからもたらされる。
まもなく多様な企業モデルが生まれる。