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何のために働くのか?

経済学的には労働の対価は賃金であり、賃金を得られることは労働の必須条件である。しかし、金銭が労働の対価であるということと、金銭のために働くということとはイコールではない。

金銭のために働くことが自明のように理解されている理由は、①金銭が個人の人格から切り離された中性的な性質を持つ、②定量的であるためである。
経営の現場では、そうした理由から「人は金銭のために働く」という仮定が独り歩き始め、給料水準さえ上げれば人材は集まるという安易な考え方も生まれた。

ところが、現実の人間は常に金銭で動機づけられるとは限らない。実際、成果主義の導入によって従業員のモチベーションや企業の生産性が上がったという調査結果は乏しく、その効果を否定する研究の方が目につく。

経済的、物質的に豊かになった今日、働きがい、働く目的として重要なものは「お金ではない」と言われる。金銭によって充足できる欲求の多くは、すでに満たされたからである。
重要なものは、仕事の楽しさや面白さ、成長や自己実現といった内面的価値、仕事の社会的意義である。特に仕事の楽しさや面白さは若年層で重視される傾向が鮮明である。

「楽しい」「面白い」と類似した感情に「うれしい」がある。この「うれしい」という感情には承認が深く関係している。仕事や活動でほめられたり認められたりすると、ますます楽しくなる。
また、働く目的として挙げられる「成長」「自己実現」についても、それを確認し、実感するには何らかのフィードバックが必要である。ここにも承認が重要な役割を果たしている。承認は大きな力で人を動機づけている。

承認の5つの効果

他人からの評価を強く意識する日本人にとって他者からの承認は重要である。マネジメントの視点から承認には以下の効果がある。

①組織のパフォーマンス向上
②モチベーション・アップ
③離職の抑制
④メンタル・ヘルスの向上
⑤不祥事の抑制

承認には有益な効果がある一方で「アンダーマイニング効果」というマイナスの作用を及ぼすこともあるので注意が必要である。これは、仕事そのものによって動機付けられている時に金銭などの外的報酬を与えると、内発的モチベーションが逆に低くなるいうものである。

マネジメントにおける承認で大切なこと

①上司は、できるかぎり具体的な事実や客観的情報に基づき、ほめたり認める。
②昇進や賞与、キャリア・アップなどの実利とリンクさせる。
③パフォーマンスの低い人たちには、仕事のどの部分が優れているといった限定的な範囲で認める。また、実際にパフォーマンスを上げるための支援をセットで行う。
④メンバーが仲間内での序列や人間関係より、組織外での活躍と評価を重視するように、開かれた組織へと改革する。