1972年9月、戦後30年近く対立していた中国と国交が結ばれた。
日中国交正常化交渉には、現在も続いている歴史認識問題や台湾問題、尖閣諸島などの論点が凝縮されている。本書では、外交記録、インタビューなどからこの過程を掘り起こし、日中国交正常化の現代的意義を振り返っています。
当時、交渉にあたった田中角栄や大平正芳、その交渉を支えた外務省員などの舞台裏が描かれています。
日中国交正常化から40年が経つ2012年、これからの中国との付き合い方を考える。
日中国交正常化のため、田中角栄首相と大平正芳外相は中国を訪問し、周恩来らと渡り合い、1972年9月29日に日中共同声明が調印された。この交渉には、日中関係の論点が凝縮されている。
・中国の賠償請求放棄
・田中角栄の「ご迷惑」スピーチに示される歴史認識
・台湾条項
・尖閣諸島問題
田中と大平は、日米安保体制と日中関係を両立させつつ、断交後の台湾とも民間交流を続けようとした。日中国交正常化を達成できたのは、ニクソン・ショックに象徴されるような国際環境の変化によるところが大きい。ソ連との対立を深めていた、中国も、アメリカや日本との関係改善を必要としていた。
一方、短期間で一気に交渉を妥結させたことで、賠償請求放棄という、やりきれない思いを中国の人心に残した。日中国交正常化の成り立ちは、極めて現代的な教訓を物語っており、再思三考すべき歴史である。
著者 服部 龍二
1968年生まれ。中央大学総合政策学部教授 日本外交史・東アジア国際政治史専攻。2002年『東アジア国際環境の変動と日本外交 1918-1931』で吉田茂賞を受賞。2011年「日中国交正常化」で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞特別賞を受賞。
エコノミスト 2011年 7/12号 [雑誌] |
日本経済新聞 |
週刊 東洋経済 2011年 8/20号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 北京への道 | p.3 | 5分 | |
第1章 田中角栄と大平正芳―二つのリーダーシップ | p.11 | 15分 | |
第2章 ニクソン・ショック―ポスト佐藤へ | p.35 | 10分 | |
第3章 田中内閣成立と竹入メモ―最初の接触 | p.51 | 13分 | |
第4章 アメリカの影―ハワイでの田中・ニクソン会談 | p.71 | 11分 | |
第5章 台湾―椎名・蒋経国会談という「勧進帳」 | p.89 | 24分 | |
第6章 田中訪中と「ご迷惑」スピーチ―交渉第一日(一九七二年九月二五日) | p.127 | 11分 | |
第7章 周恩来の「ブラフ」、大平の「腹案」―交渉第二日(九月二六日) | p.145 | 13分 | |
第8章 尖閣諸島と田中・毛沢東会談―交渉第三日(九月二七日) | p.165 | 10分 | |
第9章 日中共同声明と日台断交―交渉第四~六日(九月二八~三〇日) | p.181 | 18分 | |
終 章 日中講和の精神 | p.209 | 8分 | |
あとがき | p.221 | 3分 |