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2012/01/27更新

創発的破壊 未来をつくるイノベーション

152分

4P

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パラダイム・チェンジ

日本は未曽有の危機「東日本大震災」に見舞われ、全く新しい日本を創造する時が到来した。ただし、「復旧」や「再建」などという言葉を安易に使ってはいけない。もう一度かつての日本を再現するというニュアンスを含むためだ。
古い日本を創発的に破壊して、新しい日本を創造する気概が必要である。それには我々の思考枠組みに大きなパラダイム・チェンジが必要である。まず、パラダイム・チェンジにおいて重要な役割を果たすのは、現存する常識や定説がどんなに強固であっても、決して屈しない新パラダイムの提唱者である。そして、先駆者の思想の正しさを信奉する少数の決定的な集合体「クリティカル・マス」が形成される。そこからパラダイム・チェンジは始まる。

創発的破壊

戦後日本は実はこのパラダイム・チェンジの賜物である。戦後日本のパラダイム・チェンジは、「資源が無いから奪う」のではなく「加工貿易立国として成長する」というようにポジティブな認識から始まった。
同様に考れば、現在の日本には「エネルギー問題、首都一極集中化、少子高齢化問題の先進的解決国へ」という思考の転換が必要だ。そのためには、従来の非合理的な公共事業の商習慣を打破し、イノベーティブな企業勃興を促すべく、外国企業、中小・新興企業に対して積極的な参画を求めるべきである。
新しい時代の新しい経営者には、新たな経済空間が必要なのだ。今回の大変革は、とりわけ中東におけるジャスミン革命に見られたように、無数の小さな声を反映する「創発的破壊」となるだろう。企業家たちによるイノベーションの追求と激しい競争による「創造的破壊」ではなく、イノベーションを促進しながら資本主義の暴走を制御する「創発的破壊」を求めてこそ、21世紀的である。

新しい資本主義を創る

今回の景気後退や震災による打撃を単なる景気循環や天災の一つとして済ませるのではなく、明治維新そして第二次世界大戦に続く、「現在」という質的転換点への遭遇であることを忘れてはならない。この経済はもう元に戻らないし、戻してもいけない。つまり、新しい資本主義を創造することが不可欠だ。
今後の日本の活路は、単発のもの売りから世界におけるソリューション提供国への転身以外に見出すことはできない。製造業の発展で蓄積されたノウハウをグローバル課題の解決に向けて提供するという観点から、海外企業に学ぶべき点が多く存在する。

古いパラダイムに住む人たちは、絵空事だと思うに違いない。しかし、1945年焼け野原となった東京や広島で、どれほどの人が世界第二位に昇りつめる経済大国を想像しただろう?新しい時代を絵空事と思わないクリティカル・マスだけが、その絵空事を現実に変えることができる。「創発的破壊」によって、今こそパラダイム・チェンジを起こさなければならない。