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2011/09/03更新

風評被害 そのメカニズムを考える (光文社新書)

161分

5P

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疑心暗鬼の連鎖

風評被害とは疑心暗鬼の連鎖である。

××県にある原子力発電所で事故が起きた。

××県産の野菜をはじめとする食品や様々な商品が人々から敬遠される。
市場関係者も「××県産というだけで消費者が買ってくれない」を出荷を控える。

××県産の野菜が敬遠されていることがメディアで報道される。

それを見た人は、店頭で並んでいるのを見ても、××県産という事で買い控える。

スーパーで大量に売れ残っている様子がメディアで報道される。

××県や近隣の畑から採れた野菜の放射線量が測定される。
しかし、「シロ」と判断された野菜も、消費者は買ってくれないと出荷されない。

政府が慌てて「××県産の野菜に問題はない」と説明する。
しかし、信用できないとして他県の野菜を買おうという動きが広がる。

××県が日本のどこになるかわからない外国人は、日本産というだけで買わない。


風評被害とは

風評被害とは「情報過多社会」「安全社会」「高度流通社会」における災害や原子力事故などがもたらす経済被害の一形態である。

風評被害の共通点

①主に経済的被害を指している。
食品、商品、土地(観光)が忌避されることによる値下がりや取引拒否がこれにあたる。

②実際に何らかの問題(事故、事件、環境汚染、災害など)が起きている。

③事件や事故、災害の後、長期間にわたって報道がなされる。


風評被害の発生メカニズム

①情報過多社会
風評被害は、テレビ報道の影響が極めて大きい。テレビのニュースでは、視聴率の観点からもインパクトのある映像を多様する。そして、「安全」であれば、報道の価値は乏しい。パターン化された映像が繰り返し流されることで風評被害が発生する。

②安全社会
現在の日本は、「安全」「安心」が当然のこととして成り立っている社会である。日本人は、少しでも危険といわれるものは避けてきた。その結果、ある食品や商品などを、科学的根拠なしに「安全でない」と見なして買い控える。

③高度流通社会
日本は流通網が極めて発達している。ある商品がなくても代替品の調達が容易である。消費者が事故や災害の報道を見て、その商品を買い控えても他に食材はある。

そして、市場関係者・流通業者が「消費者が不安に感じるだろう」と思い、出荷を控えることから風評被害が広まる。


風評被害への対策

風評被害を避けることは根本的に困難であるが、以下の対策を講じることが大切である。

①流通業者・関係者への過剰反応を抑えるための教育・啓蒙活動
②科学的根拠に基づく安全性の認知活動
③人々が普段通りの生活を送り、経済を回していくこと
④風評被害のメカニズムを知ること