第一次大戦で大敗し、巨額の賠償金を課せられたドイツが、マルク紙幣を際限なく印刷し続けたことで23年、一兆倍というハイパーインフレーションを招き、それがいかに国内を荒廃させたかを、当時の日記や外交文書、同時代人の証言をもとに書かれている。
本自体は1975年に刊行された古典であるが、多額の国債残高を抱える日本が教訓とすべき歴史として注目を集めている。現在日本が抱える国債問題との関係を説明している冒頭の池上彰氏の解説がわかりやすい。
通貨を発行し続けると、流通する通貨が増加し、物価が上昇する。最初の内は経済活性の効果を与えるが、やがて物価の上昇に対し、通貨の流通量が不足し、さらに通貨を発行するという悪循環に陥る。
人々が通貨の価値に対して信頼を失うと、投機や外貨への両替に走り、物の買い占めに走る。やがて物がなくなり、食料不足という危機に陥る。また、物価上昇に対し、賃上げが追いつかずに暴動やストライキが起こり、やがて社会は混乱し、貧困が拡大する。
著者 アダム ファーガソン
1932年生まれ。ケンブリッジ大学で歴史学を修めたのち、ジャーナリストに。ザ・タイムズ紙などで健筆をふるった。 また、欧州統合に深くかかわり、英外務省の特別顧問、欧州議会の議員を務めた。
週刊 東洋経済 2011年 6/25号 [雑誌] 東洋英和女学院大学教授 中岡 望 |
経済界 2011年 7/19号 [雑誌] |
PRESIDENT (プレジデント) 2011年 8/1号 [雑誌] 埼玉大学大学院・経済科学研究科客員教授 水野 和夫 |
日経ビジネス 2011年 7/18号 [雑誌] |
帯 ジャーナリスト 池上 彰 |
週刊 ダイヤモンド 2011年 6/25号 [雑誌] 丸善 丸の内本店「松丸本舗」売場長 宮野 源太郎 |
日本経済新聞 編集委員 滝田 洋一 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
通貨への信頼が失われると何が起きるか | p.1 | 9分 | |
序章 | p.19 | 6分 | |
第1章 金を鉄に | p.26 | 15分 | |
第2章 喜びなき街 | p.43 | 10分 | |
第3章 突きつけられた請求書 | p.54 | 12分 | |
第4章 10億呆け | p.67 | 22分 | |
第5章 ハイパーインフレへの突入 | p.91 | 18分 | |
第6章 1922年夏 | p.111 | 13分 | |
第7章 ハプスブルクの遺産 | p.125 | 16分 | |
第8章 秋の紙幣乱発 | p.143 | 21分 | |
第9章 ルール紛争 | p.166 | 29分 | |
第10章 1923年夏 | p.198 | 12分 | |
第11章 ハーフェンシュタイン | p.211 | 16分 | |
第12章 奈落の底 | p.229 | 19分 | |
第13章 シャハト | p.250 | 14分 | |
第14章 失業率の増大 | p.265 | 14分 | |
第15章 あらわになった傷跡 | p.281 | 15分 | |
終章 | p.298 | 10分 |
デフレーションの略。物価が持続的に下落していく経済現象を指す。対義語は、物価が持続的に上昇していく現…