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危機は黒い白鳥ではなく、白い白鳥である

危機はほとんどの場合、バブルからはじまる。ある種類の資産の価格が、ファンダメンタルズ要因で決まる基礎的な価値をはるかに超える水準まで上昇する。バブルは、債務の行きすぎた積み上げと表裏一体にある。ブームになった資産を購入するために投資家が資金を借り入れる。

こうした出発点から予測可能な進路をたどって、金融市場は大惨事へと突き進む。

借金頼みの消費は持続できるはずがないのだが、実体経済に好影響を与える。消費者や企業が財やサービスを購入して、経済成長が刺激される。
しかし、この動きで悪循環が生まれる。経済成長で人々の所得が増え、企業の利益が増えると、リスクに対する懸念が下がり、借入コストは下がる。家計と企業は過去になかったほど容易に資金を借り入れ、支出を増やしていく。

どこかの時点でバブルの膨張は止まる。典型的には、バブルの対象資産で供給が需要を上回るようになった時である。こうなると価格の上昇が続くとの確信が失われ、借入が困難になる。バブルの中心になっている資産の価格が下がると、やがて貸し手がパニックになり「追い証」を借り手に要求するようになる。こうして資産の投げ売りが始まり、誰もが出口に殺到するようになり、安全性と流動性の高い金融資産に資産を移そうとする。バストの際には資産は、基礎的な価値をはるかに下回る水準まで下落する。

金融改革が必要

バブルには触媒が必要である。触媒で最悪なのは、金融イノベーションであり、今回の金融危機もこれにあたる。そのため、以下の改革を行う必要がある。

・トレーダーや銀行幹部には株主と利害が一致するような方法で報酬を支払う
・証券化商品の透明性と標準化をはるかに高め、厳しく規制する
・優良でないローンは、高リスクであることを明確にする
・店頭派生商品は、公開の場で取引されるようにデータベースへの登録を義務付ける
・格付け機関も規制する
・債券の発行体に「コンサルティング」サービスの提供させない
・大きすぎて潰せないと考えられる金融機関は分割する
・中央銀行は金融政策と信用政策を早めに使って、投機バブルを抑制する
・IMFを強化する

こうした改革を実行すれば、危機の発生を減らすことにはなるが、完全になくすことはできない。

グローバル化によって、金融資本や短期資金が市場や国を出入りする速度が速くなったため、資産価格の変動性や金融危機の有毒性が高まっている。金融がグローバル化しているのに対し、その規制は一国の問題にとどまっている。こうした状況から、将来、世界的規模の危機が発生する可能性が高まっている。今回の金融危機によって、これからの時代は「大いなる不安定」と呼ばれるべきものとなった。