1974年の転換点
・74年のオイルショックを境に先進国の交易条件が悪化したため、先進国は実物経済から金融経済へ舵を切ることで利潤率を維持しようとした。
・ 特にアメリカは金融の自由化や石油の金融商品化などを通じて、ドル基軸通貨体制に基づいた金融帝国への道を歩んだ。
・ その動きは95年以降顕著となり、2003年のイラク戦争は石油商品市場の決済通貨をめぐるドル対ユーロの基軸通貨の座を賭けた戦いであった。
資本主義の歴史とヘゲモニー(覇権)
・ 過去500年、どの覇権国家でもまず実物経済の利潤率が上昇し、それがやがて低下することで金融拡大の局面を迎え、バブルの崩壊とともに次の覇権国家を求めて資金が移動してきた。
・ これまでの世界資本主義のヘゲモニーの構造は、イギリスが海、アメリカは空を支配したように空間の軍事的支配のもと、自由貿易のルールを打ち立てることで確立されてきた。
・ 今後は、利潤を生む実物経済の中心地と資本主義をマネージする軍事や金融、ルール策定の中心地は分担される可能性がある。
・ 新興国の成長によって資源争奪競争は激化しており、「定員15%」の資本主義の仕組みが限界を迎えている。
資本主義≠市場経済
・資本主義システムにおいても政治と経済は一体である。今回の危機で示されたのは、国家の存在がなければ市場自体成り立たないということ、市場での富のやり取りは税という非市場的なお金の動きを前提として成立していることである。
バブルのしくみ
・95年のルービン財務長官の戦略とは、「強いドル」政策によってドル安懸念を払拭し、国債や株式の高利回りに引き寄せられた海外資金を国内のバブルを通じて膨らませ、成長期待の高い新興国に投資することで高いキャピタルゲインを狙うというものだった。
・ 国際資本の完全移動性がまだ達成されていなかった80年代では、既に膨大な貯蓄を抱える日本でバブルを引き起こし、そこで膨らんだお金をアメリカのドル債に投資させることで財政赤字を埋め合わせていた。
先進国総デフレ化時代
・ デフレとは資源価格の高騰による構造的な問題であり、日本は低成長を前提とした財政再建の道を模索しなければならない。
・ 今後、環境の規制化が進めば市場と規制の関係は大きく変わり、規制こそが市場を創出し、利潤を生む回路となる。これは、市場が飽和した低成長時代における新しい市場の一つのあり方かもしれない。