アウン・サン・スーチー
1988年、スーチーは50万の市民の前で演説し、ビルマの民主化を訴えた。その言葉には自信と勇気がみなぎっていた。この時、聴衆はスーチーがどういう人物かほとんど知らなかった。
しかし、スーチーがビルマ語で話し始めると、聴衆はたちまち引き込まれ、拍手が湧き起こった。スーチーは聴衆に、団結と規律を貫くことに加えて「お互いを許し合う能力があることをはっきり示す」よう呼びかけた。また、自分に対する批判については率直に語った。
・勇気をもってメッセージを訴える
・聞き手の好奇心を追い風にする
・感情に訴える課題を突きつけ、聞き手を鼓舞する
・率直に話す
ナポレオン・ボナパルト
「さらば、友たちよ。諸君の一人ひとりをこの胸に抱き締められれば、どんなにいいだろう。」
全盛期にヨーロッパの広大な地域を支配したナポレオンは、ロシア遠征の失敗などにより、やがて諸国に包囲され、パリが陥落し、退位に追い込まれる。最後まで忠誠を貫いた古参近衛兵たちへの惜別の挨拶は、聞く人の心を強く揺さぶった。
・簡潔なスピーチを心がける。スピーチで長く話す必要はない。
・聴衆の心情を意識し、その場にふさわしい言葉を選ぶ
マハトマ・ガンジー
ガンジーは聴衆の気持ちを読み取り、スピーチを通じて大勢の人の支持を獲得するすべを心得ていた。1942年の演説「インドを去れ」では、極めて謙虚な態度を示すことにより、重要なメッセージを聴衆に伝えようとした。「私という人間の本質は、変わっていません。あの頃と同じように、私は今も非暴力を重んじています」
ガンジーがいつも目指していたのは、聴衆を勇気づけ、行動への背中を押すこと。そのために、曖昧さを排除し、ストレートに語ることを心がけた。「私たちの運動は、権力を得るための闘争ではありません。インドの独立を達成するための非暴力に徹した運動なのです。」
・謙虚な態度で話す
・明快なメッセージで聞き手を鼓舞する
アドルフ・ヒトラー
「我々は、必要とあれば、いかなる犠牲を払うこともいといません。そのことを、世界に知らしめようではありませんか!」
スピーチでジレンマの解決策が示されて、それが納得できるものであれば、聞き手はその人物の主張を支持する。聴衆が憎しみをぶつける対象が示された時、このテクニックは大きな効果を発揮する。
自分と同質の人間を好み、異質な人間に対して不安を抱くのは人間の一般的な性質である。同族意識は、チームワークや集団への忠誠心、献身的な態度を生み出す。
・ジレンマの解決策を示す
・同族意識に訴える
・不快な過去を示した後、明るい未来を描き出す
・聞き手のニーズを理解する
・聴衆への問いかけなどのテクニックを利用する