優れたスピーチは、聞き手の心を温かくし、聞き手を前向きな気持ちにさせ、聞き手に希望と勇気を与える。
逆に聴衆を理解せず、いい加減なスピーチを聞かされると、聞き手の気持ちは萎える。準備などしなくても、朝起きてそのまま会場に出かければスピーチができると考えるのは、思い上がりか自己満足である。

本書ではスピーチを通じて社会に大きな影響を及ぼした人物100人を紹介し、スピーチの組み立て方、言葉の選び方、表現の仕方まで、達人たちの「人を動かす」話し方のテクニックを解説している。

■ビル・ゲイツ

堅苦しくない雰囲気で話すのがゲイツの流儀である。会場に入る前に念入りに準備し、聴衆のことをよく理解しようと努めている。その上で、肩の力を抜いて、言いたいことをはっきりさせて話すので、聴衆はメッセージをすんなり吸収できる。

構成をよく練り上げ、自分らしさ前面に押し出すゲイツのスピーチは、聴衆との間にすぐに親密な空気を作り出す。親密度が高まると、聴衆はその人物が時間を割いて話をしてくれていることに喜びを感じるようになる。この点はスピーチをするすべての人が学ぶべき重要な教訓である。

・堅苦しくないスピーチをする時こそ、念入りに準備する
・聞き手と親密な空気を作り出す
・独自のスタイルをつくる
・穏やかに、しかし激しい感情を表現する

著者 ジェレミー・コウルディ

国際的に活躍するエグゼクティブ・コーチ イギリスを拠点に、ＩＢＭ、シティグループ、ロンドン・ビジネススクールなどの有力企業・団体の依頼を受けて、幹部の指導を行っている。 エコノミスト誌の発行母体であるエコノミスト・グループの元上級副社長。

スピーチ・コミュニケーションのエキスパート TFI Group 取締役 イギリスを中心に世界の有力企業でスピーチやプレゼンを指導するほか、スピーチライターとして企業幹部や政治家のスピーチ原稿の執筆を担当している。 大手広告代理店サーチ＆サーチ・グループ傘下のイベント企画・運営会社ＩＣＭの社長など、ＰＲ業界で数々の要職を歴任。