なぜミスをするのか
人間は高度な知能を持っているから、見聞きする情報が、不確か、不十分でも、推測や勘によって、それなりに対処できる能力を持っている。しかし、これが思い込みや憶測の見込み違い等の原因となりミスにつながる。
「ミス」ではなく「不確かさ」と呼ぶのが正しい
すべての仕事には「不完全さ」と「不確実さ」が必ずある。事務の仕事も不確実さを前提として、臨機応変に対応できるようにすべきである。つまり、仕事の不確実さを門d内のない範囲内に収めることが重要である。
「ミス」の重大さ
・不正が多発していても、普段からミスが多いと見分けがつかず発見できない。
・現代の仕事は高信頼性が求められることがある。小さなミスも致命的となる。
事務ミスの起こる可能性をゼロにするには、仕事をワンパターンに絞れば良い。作業者に裁量の余地をなくすことである。商品は一つ、価格は一つ、販売個数も一つ。しかし、これではサービスの劣ったものになる。
仕事の「確実性」と「便宜性」はトレードオフの関係にある。まず、会社がどの程度の便宜性と確実性を欲しているのか再検討し、ミスの許容水準を決めて、それに応じた対策を取ることが大切である。
ミスの対策
①それ無しで済ます
②やり方を変える
③道具を変える
④やり直しが効くようにする
⑤致命傷にならないための備えを講じる
⑥問題を逆手にとる
例:間違いファックスの防止法
①ファックスを禁止して、電子メールや郵便を使う。
②ファックスの手順規則を決める。二人組で送信前に番号を指差し確認等。
③画面が大きいファックスを使い、番号をより確実にチェックできるようにする。
④重要でないページを試しに送り、正しく送れたらリダイヤル。
⑤文章を分けて、1枚だけでは意味がわからないようにする。
⑥ファックスを禁止し、すべて書留速達郵便にする。
情報管理が厳格で信用できる会社と思われるかもしれない。
ミスを防ぐために必要なこと
・異常検知力 :作業内容に異常があると検知できる
・異常源探知力 :トレーサビリティ。ミスの根源を逆探知できる
・作業確実実行力:少ない失敗で作業を実行できる能力
この内「異常検知力」が最も重要。やり直しがきく範囲内で、異常に気づくチャンスを与えることが、ミス対策の最大の要点となる。
異常検知力を発揮する事例
・データはいつでも見られるようにする。検査手順が遅いとミスが広がる。
・名前はまぎわらしい場合があるので、補強用の情報を付け加えて管理する。
・混ざってはいけないものは、別々に仕分けて作業する。
・目印や特徴を人為的に付ける。
・計算は可視化する。