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2012/02/08更新

経済古典は役に立つ (光文社新書)

155分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
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  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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シュムペーターとは(1883~1950年)

ケインズにとっての問題は目の前にある大不況であり、ケインズは不況から脱出するための解決策を提示した。しかし、シュムペーターにとっての問題は、資本主義のダイナミズムは何処からくるのかというテーマだった。彼は、資本主義のダイナミズムを分析し、最終的には資本主義は崩壊して社会主義になると結論付けた。

シュムペーターの創造的破壊

・イノベーション
イノベーションのイニシアティブは経済の需要サイドではなく、供給サイドにある。また、古い経済は新しい経済に取って代わられる。結果的に、経済は古い成長軌道から新しい成長軌道へ移行する。不断に古きものを破壊し、新しいものを創造するという「創造的破壊」を指摘した。いまある古い経済から新しい経済への移行が創造的破壊であり、これこそが進歩のプロセスなのである。

・企業者(起業者)
企業者とは、イノベーションの遂行を自らの機能として、その遂行に当って、機能的要素となる経済主体のこと。

・銀行家
企業者はイノベーションを実現したいが、生産手段を持っていない。企業者は貨幣についての信用を求め、これによって必要な生産手段を購入する。このような信用を供与するのが銀行家であり、リスクの最後の担い手である。

・景気循環
不況はイノベーションに起因する経済発展の調整過程であって、決して悪い者ではない。景気循環の波は50年周期、7~10年周期、40ヶ月の3つの周期があり、イノベーションを軸に循環が起こるとした。

・社会主義化
資本主義は、「その成功ゆえに失敗する」といった。資本主義を崩壊させるメカニズムとは、①大企業の存在により市場で起こる競争の不完全化(トラスト化資本主義)、②知識人による資本主義への敵対化、③別種の経済人の登場(個人主義的功利主義者など)である。

シュムペーターの魅力

① イノベーション、企業者、銀行家というキーワードで資本主義のダイナミズムの起源に挑み、またイノベーションの重要性を指摘して現実の景気循環を説明する一方で「不況などお湿りに過ぎない」と言い切るシニカルさ。

② イノベーションの重要性の指摘が、ドラッカーの『マネジメント』などに影響を与えたこと。

③ 日本に対する思い入れが強かったこと。

④ 今の日本とのアナロジー。シュムペーターは、資本主義はその成功故に崩壊し、世界は必然的に社会主義化すると考えた。日本経済はかつて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われたが、いまや20年に及ぶ経済停滞に直面している。そればかりか、資本主義のダイナミズムが失われる要因として指摘したひとつひとつ(個人主義的功利主義、家庭崩壊、少子化など)が、当てはまる。