地方企業の強みとは
現在の流通業界では、両社以外にもユニクロ、ニトリ、ヤマダ電機など、地方出身企業の活躍が多い。成功している小売業は、食品や日用衣料品、住居関連商品などにカテゴリーを絞り込んでいる。
また、得意分野に特化しただけでなく、出身地方の生活感覚に寄り添う形で、生活者のニーズのど真ん中をすくいとることができたからである。
しまむらとヤオコー成功の要因
小売業が大きく成長するためには、以下の3つの試練を乗り越えなければならない。
①創業の苦しみ
②人材確保とチェーン組織化
③独自のビジネスモデルの確立
特に企業が大きく飛躍するには、他社が模倣できない独自のビジネスモデルが必要になる。両社は以下のように独自のビジネスモデルを構築し成功した。
・しまむら 「日本版ウォルマート」
チェーンストアの原理・原則として4S(標準化、単純化、専門化、システム化)を実行した。基本の1000平方メートルのフォーマットを守り、4Sを徹底した。
しまむらでは小売業をある種の技術であると考え、生産性の概念や客観的データが重視されている。POSシステムは、セブンイレブンよりもかなり前に導入されており、先見性がある経営を行っていた。
また、人材の内部育成、マニュアルと改善提案、組織公平性などを経営の原則に取り入れ、人を重視した点が成功の要因となっている。
・ヤオコー 「提案型売場作り」
米国流の食品スーパーの標準的なフォーマットは「完全なセルフサービス」「店舗の標準化」「本部集中仕入れ」がセットになっている。しかし、ヤオコーの目指してきたものは、「単純なセルフサービスからの脱却」「店舗への権限委譲」「商品調達の分権化」である。
この背後にあるのは「部下(バイヤーや店長)には細かい指示をしない。仕事を任せるから自分の頭で考えて工夫せよ」という経営思想である。社員に全面的に権限を委譲し、見守る経営が成功の要因となっている。