なぜ地方発の企業が伸びたのか?
しまむらとヤオコーの歴史と成功の要因を分析することで、その原因を探っている。
小売業が大きく飛躍するために必要なこととして、創業の苦しみ、人材確保とチェーン組織化、独自のビジネスモデルの確立、という3つの試練を挙げ、2社がどのように乗り越えてきたか解説されている。
小売業経営にとっての成功の秘訣がわかる1冊。
埼玉県比企郡小川町。人口わずか3万4000人弱の小さな町から、2つの日本を代表する超優良小売業チェーンが生まれた。総合衣料品小売業のしまむらと食品スーパーのヤオコーである。
しまむらは、ほぼ一貫して右肩上がりの成長を続け、ヤオコーも21期連続増収増益を続けている。消費不況下でも成長できている理由は以下の通りである。
・しまむら
大手流通との立地競争から逃れ、低価格の日用衣料品に商品を限定している。小さな商圏でシェア30%を確保する方針をとっている。ごく狭い地域に住んでいる人に、同じデザインの服はたくさん売れないので、小ロットで発注したものを多くの店舗で売る。そのために物流ネットワークを構築し、徹底したシステム化による効率化を図った。
・ヤオコー
デフレ経済の下、多くの小売業は低価格、プライベートブランドに活路を見出そうとしているが、ヤオコーはディスカウント路線とは一線を画している。人々に豊かな食生活を提案する「価値提案型企業」としてのポジションを崩さず、増収増益を確保している。
また「個店経営」というチェーンストア経営の常識とは反する考え方が成功している要因でもある。「個店経営」とは、できるだけ店側に自主性を持たせ、品揃えや生鮮品、惣菜などの扱いを任せる方式である。作業効率を犠牲にしても、現場の裁量で顧客に価値提案することを優先している。
著者 小川 孔輔
1951年生まれ。法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 日本フローラルマーケティング協会 会長 MPSジャパン創業者、取締役 カリフォルニア大学バークレー校留学を経て、1986年より法政大学経営学部教授(~2010年)。現在、法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科教授(マーケティング、マーケティング・リサーチ担当)。
エコノミスト 2011年 3/22号 [雑誌] 流通科学大学学長 石井 淳蔵 |
日本経済新聞 |
帯 ファーストリテイリング 代表取締役 柳井 正 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序章 なぜ「しまむら」と「ヤオコー」なのか | p.7 | 12分 | |
第1章 成長を支える女性従業員たち | p.23 | 18分 | |
第2章 創業の苦しみを乗り越えて | p.47 | 34分 | |
第3章 人材の確保とチェーン組織化 | p.93 | 44分 | |
第4章 独自のビジネスモデルの確立 | p.153 | 47分 | |
第5章 絶えざる自己革新 | p.217 | 21分 | |
終章 両社の未来 | p.245 | 7分 | |
あとがき | p.255 | 4分 |
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しまむらの店舗を見る機会が増えてきたが、躍進の要因をみれて面白い。
2011-12-08
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