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行列のできる過疎地のスーパー

「主婦の店・さいち」は、売場面積260㎡、およそ80坪弱しかない、少し大きめのコンビに程度のスーパーである。経営は完全な家族経営。仙台市の中心部から車で30分ほど行った、温泉地である秋保にある。町の人口は4700人程度で年々減り続けている過疎地である。

そんな店には、大手スーパーやコンビニ、有名デパートなど全国各地から研修の依頼が殺到している。

さいちで扱っている商品は、他のミニスーパーとほとんど同じである。精肉、青果、鮮魚、お菓子、食品など。しかし、大きく違うのは、おはぎとお惣菜の「惣菜部門」が年商6億円の約5割を占めている点である。普通のスーパーでは「惣菜部門」の比率は10%が目標であり、50%はあり得ない数字なのである。

売れ続ける理由

手作りのおはぎは「秋保おはぎ」の名称で、1日平均5000個が売れる。お惣菜は、なるべく多くの種類を少量ずつ、手作りで作っている。店頭には300種類もの惣菜が並ぶ。さいちのお惣菜の原価は60%。普通の店では45%程度であるが、廃棄ロスをゼロにすることで利益を確保している。

このためには、従業員に心をこめてものをつくる姿勢、心をこめてそれを売る姿勢を徹底することが大切である。お客様に感謝しながら、どんなお客様の声にも本物をつくることで応える。この姿勢が売れ続ける理由である。

さいちで行われていること

・「家庭の味」を基本とし、無添加のものを提供している。安全・安心は必ず守る。
・たとえ一品でも手まめにつくる。
・朝1時半から調理場に入り、真心をこめてお惣菜をつくる。

なぜ、お惣菜が売れるのかと聞かれれば「おいしくつくっているから」としか答えようがない。上手な売り方や広告の仕方は何も考えておらず、必要ないと考えている。

おいしくつくるためのコツは、「惣菜をつくる姿勢」をつくることである。「惣菜をつくる姿勢」がしっかりできていれば、結果としておいしいものが作れる。