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「品質」が問題化する理由

近年、日本企業の品質問題がクローズアップされる理由には以下の背景がある。

①部品共通化の進展
日本企業は、コストダウンを実現するために部品共通化を押し進めてきた。これはコストダウンのメリットがある反面、一つの部品に問題が生じた場合、その影響は甚大になるというリスクを伴っている。

②グローバル化の進展
市場も生産地も世界規模に拡散し、1つの製品不良がたちまち世界に広がるリスクが広がった。

③技術の進展
技術の高度化により、予期せぬ後発事象が起こるようになった。


「日本品質」を守るための課題

①「見えない不良」の落とし穴
製造業では、製品の「コモディティ化」が急速に進んでいる。そのため日本企業は、生き残るため高付加価値化、高機能化が求められている。しかし、高付加価値化、高機能化を目指し、複雑性の高い技術革新に挑戦すればするほど「見えない不良」が発生するリスクが高まる。

②ソフトウェア不具合の多発
多くの製品は、組み込みソフトウェアによる電子制御を取り入れている。電子制御は製品をより複雑にする。

③グローバル化が招くリスク
海外現地メーカーから部品を調達する場合、国内取引メーカーと違う連携のあり方が求められる。意思疎通等により、これまで起こり得なかった品質問題も生じる。


「情緒的品質」こそ日本の生命線

日本企業は信頼性、耐久性といった「機能的品質」だけでは、差別化が困難になっている。機能的品質はもはや必要条件に過ぎず、十分条件ではない。顧客を満足させるには、「情緒的品質」を加えることが大切である。

「情緒的品質」とは「人間の情緒、感性に働きかける品質」のことである。「ワクワクする」「ときめく」などの感性に訴えかける品質をつくりこむことが、顧客満足につながる。

「機能的品質」に「情緒的品質」を加えたものを「プレミアム品質」と呼んでいる。機能と情緒の融合こそ、高い競争力を持つ「日本品質」につながると考えている。


「情緒的品質」を高めるための3つのS

①ストーリー(物語性)
作り手の思いや夢が実現される過程での、様々な困難を乗り越えてきたプロセスに顧客は共感する。

ex.マザーハウス(バングラディシュ製バッグの販売)


②サプライコントロール(希少性)
希少性は「今しか手に入らない」という飢餓感、「私だけが手に入れた」という特別感を与える。

ex.H&M、ZARA (ファストファッション)


③サービス(機微性)
顧客の琴線に触れるようなきめ細かいサービスが、情緒的品質を高める。アフターサービスの良し悪しが、顧客の満足度に影響し、次の購入の際の大きな意思決定要因になる。