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2011/08/17更新

代表的日本人 (岩波文庫)

175分

17P

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代表的な日本人として、西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮を紹介している。


西郷隆盛

「敬天愛人」の言葉が西郷の人生観を要約している。西郷は「天」は全能であり、不変であり、極めて慈悲深い存在であり、「天」の法は、誰もが守るべき、堅固にして極めて恵み豊かなものとして理解していた。

「天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならない。」

西郷は人間の知恵を嫌い、すべての知恵は、人の心の誠によって得られるとみていた。そして「天」を信じることは、常に自己自身を信じる人であった。

西郷は自国を健全な道徳的基盤の上に築こうとし、その試みは一部成功をみた。


上杉鷹山

中国の聖賢の「民をいたわること、わが体の傷のごとくせよ」との言葉を鷹山は心の奥深くに印象づけられ、終生を通じて民をみる心がけとした。
東洋思想の一つの美点は、経済と道徳を分けない考え方にある。富は常に結果であり、民を愛するならば、富は当然もたらされる。鷹山はこの儒教の教えを授かった。

鷹山の産業革命で特に優れている点は、産業革命の目的の中心に、家臣を有能な人間に育てることを置いたことにある。勤勉で節制家の鷹山により、藩の財政は安定し、民は物に富み、国中が豊かに満たされた。


二宮尊徳

尊徳にあったのは「ただ魂のみ至誠であれば、よく天地をも動かす」との信念だけでした。贅沢な食事は避け、木綿以外は身につけず、人の家では食事を取りませんでした。一日の睡眠は2時間のみ、畑には部下の誰よりも早く出て、最後まで残り、村人に望んだ過酷な運命を、自らも共に耐え忍びました。
部下の評価にあたっては、自分自身に用いたように、動機の誠実さで判断しました。尊徳から見た最良の働き者は、最も多く仕事をする者ではなく、最も高い動機で働く者でした。

尊徳が一生に手がけた農村再興は、面積としては大きくないが、当時の身分差別のあった社会において、高くない地位にいる人間としては相当なものであった。


中江藤樹

天子から庶民に至るまで、人の第一の目的とすべきは、生活を正すことにある。藤樹は徳と人格を非常に重んじた。徳を持つことを望むなら、毎日善をしなければならない。

藤樹のような聖人が日本の各地にいて、徳と感化を行ったおかげで、この国は俗悪から守られてきた。


日蓮

日蓮は仏教に無数の教派が存在することに疑問を持ち、最高の経典である法華経こそが真理であると説いた。他の教派を認めない日蓮は迫害を受けてきた。しかし、その創造性と独立心によって、仏教を日本の宗教にした。他の教派が起源を他国に持つのに対し、日蓮宗のみが純粋に日本に属している。