今の日本経済の停滞の原因とは何か
「中国の台頭と資源の著しい高騰により、21世紀に入った頃からん本の貿易黒字は減少基調になっている。」これは本当なのか。統計資料を見てみると、日本の貿易黒字は2001年には8兆円だった。資源高がピークに達した2007年には12兆円と、この7年間で増加している。
この事実からも分かるとおり、日本の経済規模は10年以上も停滞しているが、それは国際競争に負けたというわけではなく、「100年に一度の不況」によるものではない。本当の原因とは、「内需の縮小」にあるのだ。そして、この内需の縮小の背景には、「就業者数の減少」という構造的な問題がある。
就業者数が減少したのは、現役世代である「生産年齢人口(15~64歳)」が現象に転じたためだ。日本は、昔と今の出生率の違いから、毎年の新卒就職者より定年退職者が多くなり、生産年齢人口が減少する構造へと変化しつつある。つまり、日本がこれまで経験したことない歴史上初めての生産年齢人口の減少という危機に直面している。
日本では、景気循環ではなく生産年齢人口の増減が、就業者数の激減や個人所得の総額を左右し、個人消費を上下させてきた。この「生産年齢人口の減少に伴う就業者数の減少」こそ、「平成不況」や「実感なき景気回復」の正体である。
こうした状況に対し、日本は次の3つを目標にすべきである。
1.生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める。
2.生産年齢人口に該当する個人所得の総額を維持し増やす。
3.個人消費の総額を維持し増やす。
これらの目標を実現できれば、結果として経済成長率も改善することができる。しかし、経済成長率は何か別の方法で上げても、これら3つの目標は達成できないのである。
上記の3つ目標を実現するための具体策は、次のとおりである。
1.高齢富裕層から消費性向が高い若者への所得移転を積極的に促進する。具体的には、企業の年功序列賃金を弱め、若者の処遇を改善し、政府は生前贈与を促進する政策を実現する。
2.専業主婦など有償労働をしていない女性の就労を促進する。日本企業は、企画や経営に参画する女性や女性経営者を増やすべきである。
3.訪日外国人観光客・短期定住客の受け入れをして増加させる。消費者を外国から呼んでくる。