人を助けるとはどういうことか
支援とは、協力や協調、それ以外にもあらゆる利他的な行動の基盤となるプロセスである。
支援とは一つの人間関係である。文化やルールに違反した場合、クライアント(支援を受ける人)が何の支援もされないと感じたり、支援者が拒絶されたとか無視されたと感じると、信頼感が失われたり、気持ちを傷つけられたりするかもしれない。
支援には、役立つ支援と役に立たない支援がある。相手が求める支援を行わない場合、結果的にその支援は役に立たず、むしろ相手を苛立たせるといった事も生じうる。
いつどのように支援を与えるか、他人からの支援をいつ、どのように受けるかを知っていると人間関係は喜ばしいものとなる。つまり、支援は気配りを持って扱わねばならない。
支援における罠
そもそも支援関係は対等な状態にない。クライアントは一段低い位置(助けを求めることで一時的に地位や自信を失った状態)にいるため、力が弱い。支援でうまくいかないケースは、この不均衡を認めず、対処しないことによる。
本当の協力関係をつくる7つの原則
①与える側も受け入れる側も用意ができている。
支援しようという努力が受け入れられなくても腹を立てないこと。
②支援関係が公平なものだと見なされる。
支援される側は気まずい想いをしている事を思い出すこと。クライアントの本当の望みは何か、どうすれば支援できるか尋ねること。
③支援者が適切な支援の役割を果たしている。
専門的知識や診断スキルが本当に必要かは、最初はわからない。実際に必要なものを判断するために、情報を打ち明けてもらえるほどの信頼関係を築く役割をすること。
④言動のすべてが、人間関係の将来を決定づける介入である。
支援しようとも、断ろうとも周りからは見られており、今後の人間関係に影響する。支援しすぎたり、間違ったやり方をしてもおせっかいとなる。何をしようと、するまいとも、その現実を理解して、どうコミュニケーションするか選ぶ必要がある。
⑤効果的な支援は純粋な問いかけとともに始まる。
求められた支援がお馴染みの内容でも、先入観を持たず、全く新しい要求として考え、問いかけること。
⑥問題を抱えている当事者はクライアントである。
ある問題を他人がどう感じるかについて、支援者が心から理解できることはあり得ない。何が最も効果的かを決められるのは、あくまでクライアントである。
⑦すべての答えを得ることはできない。
支援者の知識が必ずしも解決に役立つとは限らない。支援者は、支援の対象となる問題を分かち合うこと。「お役に立つには何をすべきかわかりません」と。