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2011/08/14更新

消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安 (中公新書)

194分

7P

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アジアの消費市場

アジアの人口は32億人を超え、経済成長に伴い巨大な消費市場を生み出している。上海、北京、バンコク、クアラルンプールに住み、乗用車、ブランド品、iPad、液晶テレビ等を購入する担い手は「富裕層」だけでなく「上位中間所得層(年間可処分所得15001ドル〜35000ドル)」も含まれ、その家計人口は中国7800万人、ASEAN5が3700万人、インドが2400万人になる。
一方、年間所得5000ドル以下の低所得層の割合も多く、中国では66%、ASEAN5では60%、インドで81%となっている。今後、アジアの消費市場のさらなる拡大が予測されているが、各国の成長力を維持し、格差を是正するには多くの課題がある。

これまでのアジア新興国の発展の経緯

アジア新興国は都市を中心として発展してきた。アジアの都市化率は1950年の16%から2005年には39%へと急上昇した。すべての国で都市化が進むと同時に所得水準は上昇している。都市人口の増大が市場を拡大させ、分業を含む大量生産システムが形成され、同システムによる安価な製品・サービスは、都市経済を豊かにし、住民の賃金を引き上げた。賃金の上昇は出稼ぎなどの地方から都市への人口移動を誘発し、さらに都市を発展させる。
但し、途上国では必ずしも都市化率の水準が上昇すれば、経済発展が進む訳ではない。大都市が抱える人口が、雇用能力を超える場合、多くの失業者を生み、市場拡大の効果は減ずる。また、分業体制を構築するための資本や市場も必要とする。多くの大都市は資本と市場を外国企業を受け入れることで、それらを手に入れてきた。
外国企業を受け入れた大都市は、周辺の都市を巻き込み大きな経済圏を発展させてきた。アジアの都市は、メガ都市化することで消費行動を先進国化している。

地域間格差の拡大

アジアは都市化することで、経済発展を遂げてきた。一方で、都市と農村の地域間格差が拡大し、社会問題となっている。地域間格差が縮小するには、農村部門から所得の高い工業・都市部門への一層の人口移動が必要である。しかし、アジア新興国では少子高齢化が進んでおり、ベビーブーム世代である中高年人口が農村にとどまることで、格差は是正されない可能性が高い。

アジア新興国の持続的な成長は可能か

アジア新興国の持続的な経済成長には、メガ都市を中心とする経済圏メガリージョンの競争強化が不可欠である。しかし、新興国は地域間格差という問題を抱えている。地方・農村の開発や社会保証制度の整備など格差是正には、これまで以上の財源が必要であり「増税」が必要となる一方、メガ都市の発展には「減税」が必要となる。
タイの事例のようにアジア新興国は地域間格差の問題により政治不安を抱えている。アジア新興国の発展には大きな課題がある。