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2011/08/13更新

君主論 (岩波文庫)

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君主は国家を建設・獲得する上で不可避的に国民に何らかの被害を与え、それにより反乱が発生する。征服した地域の住民の言語や風習、制度などが征服者と異なる場合、統治には深刻な困難が生まれる。
これを解決するためには、征服した地域の旧君主の血統の根絶、支配地域の法体系や税制維持、征服者が本拠地をその地域に移すこと、移民を兼ねた部隊の派遣が有効である。民衆は、頭をなでるか、消してしまうか、そのどちらかにしなければならない。

君主国が征服した国を統治する場合、君主が大きな権限を以って大臣を任命して集権的に統治する様式と、元々その地域で支持を得ている諸侯に自律性を認めて、分権的に統治する様式の二つがある。前者による統治は容易だが、後者の場合には各地で様々な勢力が存在するために困難を伴う。

自由市民によって統治されてきた都市や国家を征服して民衆を統治するためには、①その都市を滅亡させること、②君主がその地域へ移住すること、③ある程度の自治を認めて君主に従順な寡頭政権を成立させること、の三つが考えられる。基本的に自由市民はかつての独立を回復しようとする傾向があるため、その地域の市民を統治政策の中で活用することが適当である。

他人の武力や運で新たな君主国を得たとしても、君主の指導力が不足していれば国の基盤を構築できないため常に不安定となる。敵の排除、味方の確保、武力や謀略による勝利、民衆からの畏怖と敬愛、兵士からの畏怖と敬愛、政敵の抹殺、旧制度の改革、厳格かつ寛大な振る舞い、忠実でない軍の再編、諸侯たちと親交を保ちつつ便益をもたらすようにするか、攻撃の際には慎重であること、これら全てが君主国において不可欠な力量である。

君主は善行でない態度もとる必要がある。一人の君主があらゆる道徳的な評判を勝ち得ることは原理的に不可能である。美徳であっても破滅に通じることがあり、逆に悪徳であっても安全と繁栄がもたらされることがある。
気前の良さを発揮して一部の人々のために大きな出費がかさむと重税を課さざるを得なくなり、その他の大勢の領民に憎まれる上に、そのような出費を止めようとすると逆にケチだという悪評が立つため害悪であり、それよりも多くの人々の財産を取り上げないことが重要である。つまりけケチという評判は支配者にとって許容されるべき悪徳の一つである。

また、君主は残酷と評価されることを気にしてはならない。憐れみ深い政策によって無政府状態を許す君主より、残酷な手段によってでも安定的な統治を成功させることを重視すべきである。原則的に君主は信じすぎず、疑いすぎず、均衡した思慮と人間性を以って統治を行うべきだが、「愛されるより恐れられるほうがはるかに安全」である。人間は利己的で偽善的なものであり、利益がなくなれば反逆するが、君主を恐れている人々はそのようなことはない。