マエカワ(前川製作所)とは
マエカワは、1924年創業の冷蔵製氷業の会社が母体になっている。創業以来、「物を冷やす」技術を核にして、冷凍、ヒートポンプ、食品、ロボット、超伝導、バイオなどの多方面に事業を拡大させてきた。現在では国内58事業所、海外80拠点の規模にまでなっている。
「跳ぶ」とは
マエカワでは、「今後、この分野が有望だ」と論理分析して、新規事業を行っている訳ではない。自分たちがいる「場所(環境)」を見て、新しいニーズを捉え、自分たちを変化させている。場所の変化に応じて、自分たちが提供する商品やサービスを変えていく。さらに誰も挑戦しないオリジナルを狙う。これを「跳ぶ」と呼んでいる。
跳んだ結果がうまくいけば、価格競争に巻き込まれない無競争社会を生きていくことができる。その事例には以下のようなものがある。
・従来よりも20%エネルギー効率の良い冷凍機
・骨付き鶏もも肉の自動脱骨ロボット
・超伝導プロジェクト
どうやって「跳ぶ」のか
「跳ぶ」には4つのステップがある。
①感覚知に優れた組織にする
小集団の組織を作り、各分野の専門家が感覚知情報(各自が物事を見て感じたこと)をやり取りし、本質を追求する。すると、全く新しい道がパッと見えてくる。
②組織が共同体になって「公」を見出す
企業は「私」、場所は「公」である。企業という立場でなく「公」の立場で発想する。超伝導などの困難な目標にも「公」の立場になれば前向きになれる。
③「動」と「静」を用いて組織の質を高める
マエカワでは20〜40代を「動」の時代、50〜70代を「静」の時代と呼んでいる。静の年代の人には、歴史や伝統の価値を認識し、成熟した強みがある。動の経験不足をサポートする役割を担っている。そのため、マエカワには定年制が実質的に存在しない。
④場所性を捉えて競争から自由になる
市場の環境変化を的確に捉えて、それを共有していく。
・市場の変化、環境の変化を確認する
・固有の立場(自社の特徴)を確認する
・これから目指す理想像を描く
・理想を達成する方向性(事業方針)を確認する
・重要課題を抽出する
・事業計画を策定する
こうした計画を全員で行い、各人の意見を集約し、背後にある本質を突き止めていく。このプロセスが各人の感覚知をすりあわせることである。
ここでは、競合と争うのではなく、そのエネルギーを棲み分け実現に転換させるように注意する。