「はやぶさ」式思考法
①減点法は止めて、加点法にする
人は「減点法」で評価されると失敗を減らそうとリスクを回避しようとする。一方「加点法」で評価されると成功を増大させようと、難易度の高いことに挑戦する。ハイリスク・ハイリターンな事業は加点法で評価すべきである。
②教科書には過去しか書いていない
教科書や論文を読んでも、そこに書かれていることは過去にすぎず、新たな発想を提供するものではない。過去の模倣をしても、外の世界は見えてこず、新たな課題の解決にはならない。
③天の邪鬼になる
天の邪鬼は本来、何かを学んだり、習得しようとする時には、非効率である。しかし、研究者にとって大切なものはインスピレーションである。それがなければ、努力を積み重ねても誰かの模倣に終わってしまう。まず「人がやったことはやらない」というくらいの天の邪鬼になった方が良い。
④マトリクス型組織にする
JAXAの研究所では分野ごとの縦割り組織になっているが、特別なプロジェクトを行う場合は、各分野から専門家を集めてチームにする。いわばマトリクス型組織であり、アイデアのバリュエーションが豊富になる。但し、組織をまとめるのは困難という短所はある。
⑤失敗は隠さない
「はやぶさ」プロジェクトの情報は、スタート時からすべて公開していた。宇宙開発は税金で賄われており、国民に説明義務がある。また、うまくいかない時は、失敗の現実を知って欲しかった。全力を尽くしたがダメであったと見てもらった方が、挑戦への納得が得られる。
意地と忍耐が大切
「はやぶさ」の成功は幸運だったと言っている。なぜ運に恵まれていたかを考えると、その要因はしつこいほど粘り、諦めなかったことである。運を拾うには意地と忍耐が大切である。