「メッシュ」とは何か
メッシュとは、他の人と「シェア」するモノやサービスに簡単にアクセスする手段を提供するビジネスのことである。
ホテル、アパート、地下鉄、タクシー、図書館など、これまでも社会生活の中で多くの人々が「共有」するサービスは存在してきた。そして今後は、これらのモノやサービス以外にも、ネットワークの広がりを通じて、様々なメッシュ(網)が成長し始めている。
メッシュ・ビジネスの特徴
①核となる提供物が、製品、サービス、原料を含めて、他の人とシェアされること。
②ウェブやモバイルのネットワークを利用して、利用状況を追いかけ、顧客データや 製品情報を集計すること。
③有形のモノや具体的なサービスを扱うこと。
④商品内容、ニュース、おすすめ情報等は口コミで伝えられ、ソーシャルネットワークによって広範囲に伝達されること。
メッシュの事例
・カーシェアリング
・自転車のシェア
・家の交換
・オフィスのシェア
・ワインの協同製造
メッシュが広がる理由
①巨大ブランド企業への不信感の高まり
経営危機による金融機関の経営実態への不信感。リーマンショック以降のシティバンクやAIGの高額報酬問題など、一般消費者は大手ブランドに不信感を募らせている。
②不況で人生において何が必要なのかを見直し始めた
2008年末からの景気後退で、職を失い、ローンが支払えず家を差し押さえられた人が大勢いる。不況の中で人々は人生において本当に価値があるものは何かを見直し始めた。
③使い捨て社会への反省と環境問題への関心
企業はゴミや汚染物質を出すことがブランドに傷をつける結果を招くと体験している。環境への関心が高まり、資源をより効率よく使うという基盤がメッシュを後押ししている。
④人口の増加と都市への集中
現在は50%の人が都市に済む。人口密度が高い都市はメッシュが成長する条件が整っている。
⑤情報ネットワークの成熟化
この十数年でモバイル機器をどこでも持ち歩き、いつでもネットワークにアクセスできるようになった。
今後のメッシュ
情報飽和社会においてメッシュがもたらす競争優位性は高い。今後、既存のビジネスモデルに脅威を与え続ける。経営者がメッシュを無視することは、もはや自殺行為である。
メッシュは複数の企業が連携し、情報と資源をシェアし合うことで最大限にその効果を発揮する。古いビジネスモデルに従う企業は、顧客を所有物とみなし他企業と情報をシェアしようとしないが、そのうち情報の質と量で負けて、新興メッシュ企業との競争に勝てないことに気付くだろう。