なぜ認められないのか
危機の原因として確かなものに「否認」、つまり「目の前の現実を認めない」という態度がある。否認とは、ある不愉快な現実に対し「本当のはずがない」と考える無意識の心の動きである。人は明白な事実であっても、それが自分にとって不都合であれば、それを無視してしまうことがある。
多くの企業や経営者を見ていても「避けられた失敗」が多く、それは現実を否認した結果がもたらす。
現実に向き合うための8つの教訓
①手遅れになるまで危機を待たない
否認に立ち向かうのは、今だと考えること。危機を待っていては手遅れになる。
②事実を曲解しても、待ち受ける現実は変わらない
事実がどれほど残酷であろうとも、それを無視したり、否定したり、ねじ曲げたりせずに、それを認め、立ち向かうべきである。
③権力は人を狂わせる
周囲は、権力者には真実を伝えなくなる。そのためリーダーは自分が思っているほど組織のことを理解していない。この状態が否認を招く。リーダーは真実にこだわらなければならない。
④最高意思決定者は聞く耳を持つ
権力に対して真実を語ることは常に賞賛されるが、実行されることは少ない。否認を排除するには、異論が起こった時には傾聴しなければならない。
⑤長期的な視野にたつ
否認と近視眼的な考え方には密接な関係がある。厳しい現実と、それがもたらす不快感や困難、痛みを避けようとするのは無意識の選択である。
⑥バカにしたり、歪曲した言葉には注意する
競合をバカにするのは否認の兆候である。それに気付いた時は、それが本当に意味することを考えた方が良い。
⑦真実を語る
隠すことなく真実を語れば、否認を避けるのに役に立つ。
⑧過去の常識にとらわれない
大抵の人は、たとえ間違っていようと過去の常識にしがみつこうとする。